【バンコク週報特約】
「当社ではこれまで多くの失敗をしてきた。その経験を顧客の事業支援に生かしていきたい」-NEC(日本電気)ものづくり統括本部の松井聡志シニアエキスパートは「ものづくり共創プログラム」の立ち上げ理由をそう説明する。
ものづくり共創プログラムはNECグループが製造業の「ものづくり」の革新・強化を目的として2012年6月にスタートしたもの。これまでは日本国内でプログラムを実施してきたが、今後海外でも展開していくことになり、8月23日から25日の3日間、タイで同プログラムを紹介するセミナーが開催された。
ものづくり共創プログラムは「匠」「繋」「活」「共」という四つのコンセプトからなる。今回のタイセミナーは顧客同士の情報交換およびNECからの情報発信の場を設ける「共」に分類されるもので、3日間のセミナーと工場見学会に約70人が参加した。この先にあるのが「繋」で、NECが最も得意とするITソリューションで顧客のシステム改革を支援していく。
ただ、ここまではさほど目新しいものではない。そこでNECでは、ものづくり共創プログラムに「匠」のコンセプトを加えた。NECは生産リードタイムの短縮や在庫削減を進めてきたが、この社内改革を推進してきたメンバーが顧客の業務改善・改革の支援を手がけることにした。NECも製造・販売・購買が連携していないという失敗から全体の見直しを行ったという経緯を持つ。現在、製造業では少品種多量から多品種少量に比重が移行しつつあり、サプライチェーンの見直しが急務となっている。このためNECは過去の失敗を顧客のために生かすことにした。
さらに「活」では物流網などの見直しも支援する。NECも物流網の整備が遅れていた時期がある。そこで物流で困っている企業にはNEC関連物流会社の物流網を利用してもらうことを提案する。これによりNECグループの施設・ノウハウを顧客のために生かすことができるという。
NECコーポレーション(タイランド)の鹿野孝幸社長によれば、日系企業が集積した有望市場であるタイでものづくり共創プログラムの海外展開を始めていくことにしたとのことだ。