■組み立て系は積極的 プロセス系では遅れ
日本能率協会コンサルティング(JMAC、東京都千代田区、鈴木亨社長)は、製造業におけるIoTの取り組み実態のアンケート調査の結果を発表した。
現場の実態把握や課題解決などに取り組んでいる企業が40%を超えたほか、業界別では自動車を含む輸送機器と電気機器、機械製造業など組み立て系が積極的に取り組む一方、医薬や科学、食品などプロセス系では遅れていることなどが分かった。
調査は製造業従事者8296人に対してWEBアンケートを通じて行われた。
IoTの取り組み状況は、現場における課題経血、最適化、価値創造のそれぞれに対し、どこまで進んでいるかを聞いた。課題解決では43%あまりが取り組んでいると回答したのに対し、スマートファクトリーの実現など最適化では32%、新ビジネスモデルの創造など価値創造では13%となり、現場レベルの課題解決に止まっている企業が多かった。
具体的に、課題解決に対してどんなことに取り組んでいるかの設問では、設備の稼働状況の把握(23%)や不良発生時の状況把握(20%)、故障予知(14%)など設備関連と、生産進捗の把握(18%)、棚卸しや在庫管理の効率化(16%)など物の把握では実行中の意見が多かった。逆に、作業員の行動把握や作業訓練などにIoTを使っている企業はわずかだった。
最適化に関しては、生産実績情報や進捗管理のリアルタイム化、生産計画の自動最適化、設備状態や生産実績をもとにした自律制御などに取り組む企業が多かった。価値創造においては、顕著な傾向は出ず、これからという印象となった。
また、会社規模別の取り組み状況について、売上高1兆円以上、1000億円以上の大手企業では取り組みが進んでいるのに対し、100億未満の中小企業では課題解決でも取り組んでいる企業が33%にとどまるなど、中小企業のIoT活用に対して課題が浮き彫りとなった。