製造業・世界と戦う担い手づくり エキスパート待望(3)

陥りがちな人材育成方法 技術者には4つのパターン

技術者がどうしても陥りがちな人材育成方法があります。技術者の間で行われる育成方法というのは、意識しているにしても、無意識であるにしても、大きく4つのパターンに分けられます。
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・俺の背中を見て育てという「職人系」
・スポ根フル活用で育てようとする「体育会系」
・一挙手一投足まで細かく指示した指示書でがんじがらめにする「軍隊系」
・育成には一切我関与せずの「放置系」
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人材育成に延々と時間をかけてもいいのであれば職人系は機能するでしょう。いくら人を叱責したとしても、相手が納得するくらいの実績に伴う圧倒的なカリスマが指導者側にあれば体育会系もいいと思います。一部の優秀な人、天才にすべての権限を与え、大規模な組織を動かすのであれば軍隊系が好ましいかもしれません。長時間にわたるモチベーションの維持と自己研鑽が初めからできる、傑物のような若手人材ばかりでしたら放置系も機能します。
しかしながら、多くの企業にとってどれもあてはまらず、普通の若手技術者から出発して、それをできる限り短期間で育成し、少人数であったとしても、企業の利益となるような技術を生み出す技術者になってもらいたいというのが本音かと思います。
このような企業の技術骨格を支えることのできる技術者に共通する特性というのは、「自ら課題を見つける自主性と、それを解決する実行力」です。
そしてこのようなスキルを有する技術者、研究者の多くは、体系的な教育プログラムなどを通じて誰かに教わったわけではなく、苦労して自分でそのスキルを身に着けた、というのが実情のようです。
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なぜこのような状況なのでしょうか? 技術者は自らの専門性や技術力と比較して人材育成という単語に極めて鈍感であり、そのため技術者の人材育成という文化が育まれてこなかったというのが背景にあります。つまり、自分の技術を磨くことに関心があっても人を磨くことについては興味のない技術者、研究者が多いのです。
そのため、優秀な若手技術者の多くは何が正解なのかもわからないまま、我流で上述したスキルを身に着けてきたという事になると考えます。
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技術者育成研究所は、製造業の若手技術者が効率的に自主性と実行力を養うため、それぞれ以下のような観点で育成プログラムを提供していきます。
「自主性」については、技術者個人にとって「興味のあること、好きなこと」を客観的視点から調査した上で、それを認識してもらう、という所に主眼を置きます。これは、自分にとって好感の持てることであれば積極的に行動できるようになり、これがその人の自主性につながっていくという深層心理に基づいた考え方です。
そして、意外にもこれまで多くの技術者の育成を行ってきましたが、自分の好きなこと、興味のあることを的確に表現できる人材は極めて少ないです。
これは、自分自身のことは、自分が一番わかっていないというのが主な理由です。さらにいうと、その好きなこと、興味のあることを実業務に落とし込める人は、その中でもさらに稀です。この興味のあること、好きなことを実業務に落とし込めるというのは、後述する「実行力」を育てる観点から重要です。
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技術者育成研究所は極めて客観的な第三者視点と元技術者という技術者心理の傾向を把握する接近力で、すべての技術者が持つ好きなこと、興味のあることを引き出すことを目指します。
また「実行力」については、技術者育成プログラムで学んだことを、実業務でどのように実行するのか、という落とし込みを行うことでフォローしていきます。継続的なアフターフォローをご契約いただいた場合、各技術者の抱える実業務を把握した上で、プログラム中で学んだ事をどのように実践するのかということを、具体的なやり方を含めて指導を行います。
理論が頭でわかったとしても、それは「知識」でしかありません。机上の空論と大差ないといっても過言ではありません。それに対し、得られた理論という知識をどのように活用するのかという実行力まで落とし込んだものを「知恵」といいます。
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技術者育成研究所の目指すのは、自主性をはぐくむ理論に加え、実行力も重視したプログラムを展開していきます。アフターフォロー契約においては、必要に応じて技術情報に対する機密保持契約を締結させていただきます。
これは、技術者が実際に職場で業務とする専門性が高い仕事に、上述した自主性を発揮するための理論を落とし込む必要があるため、技術者育成研究所の講師も仕事の概要を理解し、若手技術者育成プログラムで目指す、「自主的に課題を見つけ、それを解決できる技術者」になるためのOJTを行うためです。
なぜこのような落とし込みが必要かというと、技術者は「技術がわかる人間かそうでないか」で助言を受け入れるか否かが9割以上決まってしまうという不可避な現実があります。
技術者に実行力を伴う知恵をつけてもらうためには、実業務の差支えない範囲までは技術者育成研究所の担当者も入らせていただき、技術内容の概要を把握したうえで「具体的」な業務に対する助言を行わせていただくことが重要です。
自らの共通言語である専門用語を用いた助言は、現場の技術者にとって具体的な仕事の落とし込み方をイメージすることを容易にし、意識的に理論を実行するという訓練を行うことができます。この訓練を繰り返すことで、知識は知恵となっていくと、技術者育成研究所は考えます。
以上のような基本方針のもと、「自ら課題を見つける自主性と、それを解決する実行力」を有する技術者の育成を目指します。

■吉田 州一郎(よしだ しゅういちろう)FRPコンサルタント。大手機械メーカーの航空機エンジン部門にて、10年以上にわたりFRPに関連する業務に従事。社内試作から始まったCFRP航空機エンジン部品の設計、認定開発、海外量産工場立ち上げを完了。本部品は先進性が高いという評価を得て、世界的FRP展示会 JEC にてInnovation award受賞。新規FRP材料研究においては、特許や海外科学誌への論文投稿掲載を推進し、Polymer Journal、Polymer Compositesをはじめとした科学誌に掲載。
− Professional member of Society of Plastics Engineers ( SPE; 米国プラスチック技術者協会)
− 高分子学会 正会員
− 先端材料技術協会 正会員
− 繊維学会 正会員
− 特定非営利法人インディペンデント・コントラクター協会(IC協会)正会員
− 福井大学非常勤講師

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