共同出資で現地営業も実践
「日本は自らを低く評価しているようだが、世界は決してそうは思っていない」「豊富な産業とそれを支える技術がたくさんある重要なマーケットだ」「技術の宝を持っている」多くの海外トップが必ず口にする言葉だ。
日本の製造業は競争力が下がっているといわれるが、それでも世界は潜在的な力を高く評価している。第4次産業革命、デジタル化が進むなかで、日本の技術力を求める向きは強い。
日本企業は技術力は高いが、営業やマーケティング、特に海外企業との取引や海外展開を苦手としてきた。そのギャップを埋め、ユニークで強みのある企業の海外進出、マーケット開拓をサポートするのが、INDUSTREA(インダストリア、東京都港区、橘芳樹代表)だ。
同社は、東証1部上場のエス・エム・エスの創業者である諸藤周平氏が設立し、シンガポールに拠点を置くReapraグループの一員。同社は日本企業の海外進出支援を主要事業としている。
銀行やコンサルティング会社など海外進出支援をうたう企業は数多くあるが、同社はそれらとは一線を画した活動を行っている。通常、支援企業は調査や計画立案だけをやり、現地での活動は進出企業が自らの責任で行う。支援企業はそこにリスクは負わない。進出企業はビジネス立ち上げの経験も浅い、または未経験の社員が右も左も分からない状態で立ち上げを行っている例がほとんど。準備や体制が整わないまま市場があるからというだけで始まり当然のように失敗する。そうした例を繰り返してきた。
同社はそれに対し資金拠出も行い、同じリスクを負う。海外でのビジネス、新規事業の立ち上げにたけた同社の社員が進出企業と一体になって現地の法人立ち上げから販売先の開拓、現地での人員確保、サービス体制の構築などを行い、海外進出を成功に導く。実践も含めて行うのが特徴だ。
実際に、国内ではインフラ向けに特殊機械を製造しているメーカーの海外展開を助け、スマホ向け部品メーカー向けとの案件などが進んでいる。
外資系投資銀行や未公開株投資会社で長い間、企業育成に携わってきた経験を持つ橘代表は「日本企業が海外に進出するのは、新たに事業を立ち上げることに近い。限られた予算のなかでとにかく動き、現地の業界構造や商流など理解しながら戦略を立案することが重要。海外においては、調査では判らない想定外の事項が必ず起こるので、ともかく実践が大事だ。
当社はそこも含めて進出企業とタッグを組んでやっていく。国内でニッチトップの企業や独自技術を持っている企業は海外でも十分な勝ち目がある。そうした企業の新たなビジネス創出に貢献していきたい」と話している。