IPC導入事例 vol.2 セレスティカジャバン 組織転換の核となったIPC標準規格 (前篇)
◆外資系EMSとなり、グローバルな製造受託企業へ
セレスティカは、カナダのトロントに本社を置く、世界トップ5に数えられるグローバルEMSの1社である。その日本法人として、2002年に旧宮城日本電気株式会社(NEC宮城)を買収する形で発足。国内特定顧客向けの製造が主だった旧体制からグローバル市場で多種多様な製造受託へと移行した背景には、IPCを活用した生産ラインの国際標準への対応があった。
IPCを導入した経緯とその効果について、日本で唯一(2016年3月時点)のIPC-A-610マスタートレーナーである、千葉達也氏に話を伺った。
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-御社の概要を教えてください
当社はカナダに本拠を構える、1994年創業のEMSです。もとはIBMのカナダ工場だったものを当時の経営陣がMBOして発足しました。ちょうど世界で、EMSのビジネスが生まれ出した頃のことです。
グローバルの売上高は5600万USドル、日本円で6000億円超です。世界12カ国20カ所の生産拠点で、約2万5000人の従業員が働いています。EMSでは世界トップ5に入る規模でビジネスを展開しています。
製造する品目は、ほとんどが事業者向け製品。特に通信機器を得意としています。製造だけでなく、設計から修理までメーカーに代わって請け負うことができ、近年は、航空宇宙産業や防衛機器、産業機器、エネルギー機器、ヘルスケア機器、半導体製造装置など、多品種少量生産で高品質が求められる付加価値品の割合が増えています。
これらの分野を社内では「多様化製品市場」と呼び、いま最も力を入れています。
-日本法人であるセレスティカジャパンについてはいかがですか?
セレスティカジャパンは、もとはNECの通信システムの開発・製造拠点だったNEC宮城とNEC山梨を、セレスティカが買収してスタートしました。
現在は、国内の通信キャリアの光伝送装置や局内装置のほか、NECや国内外の大手メーカーの通信機器を製造しています。また、防災無線用の操作盤や半導体製造装置、人工衛星向けの超精密プリント基板など、本社と同様、多様化製品市場に注力しています。
たとえば、高速道路上にある緊急連絡用の電話ボックスも当社が製造しています。あれは電話機能だけでなく、複数の機能を持ったインテリジェント機器で、第2東名などにも使われています。
NEC宮城時代から培った製造技術力を活かし、高品質でプロフェッショナルなものづくりを行っています。ここ10年ほど、セレスティカは、生産拠点を欧米からアジアにシフトしていますが、中国拠点などグループ内での仕事の取り合いは日常茶飯事です。ローコスト工場では難しい、柔軟な対応や製造技術で差別化し、世界各国のお客さまからの依頼に応えています。
-IPCに取り組みはじめた経緯を教えてください
NEC宮城時代の2000年頃に、当時の経営陣から、海外の規格を勉強しておくように指示をされたのが始まりです。
当時、海外では企業間のM&Aが盛んで、業界再編が活発でした。国内はまた?エレクトロニクス業界が健在でしたが、少しずつ変化しはじめていた時期です。
経営陣は先行きが不透明な時代に対応するため、海外EMSを活用した効率化や、自らが国内外のあらゆる企業から製造受託を受けEMS事業を強化することなど、経営改革を進めていました。その一環として、グローバルスタンダードを理解し、いち早く対応しておくことが不可欠であると判断したようです。
(中篇に続く)
■ジャパンユニックス■
(東京都港区、河野正三社長)
1974年の創業以来、最新鋭の分析機器を活用してはんだ付に関する基礎研究を進める一方、レーザーや超音波はんだ付など最新技術を取り入れたはんだ付装置の開発を行っている。世界各地の車載部品、スマートフォン、EMSをはじめとする主要メーカーに数多くの技術支援を行っている。
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