構造計画■ADAP やる気引き出す改革ツール
構造計画研究所は10月28日、同社本社で「ADAPユーザー会2016」を開催した。
ADAPはサプライチェーンのつながりが見える生産管理システム。APS(Advanced Planning and Scheduling)による生産日程計画と生産管理を行うWebシステムで、需要・計画・実績など何か変化があるたびに「つながりの変化」をリアルタイム解析ができる。計画と実績に差異が発生した時に、その場でいつ・どこで・どの程度の問題が発生するかがすぐわかる点と、特定の業務プロセスに縛られない自由さで、現場のやる気を引き出す業務改革支援ツールとして注目を集めている。
ユーザー会では基調講演として、改善コンサルタンツ柿内幸夫チーフコンサルタントが「リードタイム短縮経営の極意」として、現場担当者から経営層まで1つのことに対して現場現物を見ながら知をすり合わせ、即実行するという、日本にしかできない経営改革手法の紹介や、市場の少量多品種シフトに対してのリードタイム削減の重要性を解説した。
また、ADAPの導入を決めた偏光板メーカーのサンリッツ生産業務部生産管理グループ福井利彦担当部長は「ADAP導入の道のり〜現場も納得、導入前の検証で効果が見えた〜」として事例紹介を行った。サンリッツは富山を中心に、韓国、中国、台湾、メキシコなどサプライチェーンを構築しているが、ユーザーの短納期要求対応のため、エクセルで計画管理をしていた生産管理部門に負荷が集中、課題となっていた。そこで、福井氏が中心となり、ソフトウエアを調査。各部門が計画に参画しコミュニケーションしながら計画遂行する点を評価し、現場や経営陣を巻き込みながらADAP導入に至った経緯が紹介された。
両講演を通じ、来場者はITを「道具」として活用することで、日本の製造業がもともと強みとしている「現場力」をさらに引き出せることを再認識していた。