Q
設備内へ出入り(停止中)して以下の作業を行うのは、ロボット特別教育未修了者でも問題ないか?
① 操作盤にて、設備の動作確認を行う。
② 設備内へ入り、清掃を行う。
③ ロボットがつかんだワークを外すためにワークを支える。
A
安衛則第36条第32号の本文カッコ書きに、「産業用ロボットの運転中に行うものに限る」とありますので、運転停止中の検査等の業務は特別教育の対象とはなりません。
なお、ここで規定する「運転を停止」するとは、運転停止のスイッチを切る、もしくは一次電源を切ることであり、クラッチを切った状態あるいはプログラム等でモーター等の動力源のスイッチを切っただけではダメです。
次に、①の操作盤にて、設備の動作確認を行うですが、ロボットの運転を停止した状態で果たして動作確認ができるのでしょうか。確認のためには動力をつながなければならなくなりますので、特別教育の対象業務となると思われます。
②の清掃と給油については、安衛則第36条第32号の条文上は特別教育の対象に規定されていません。しかし、安衛則第150条の5の検査等には掃除もしくは給油が規定されていることに注意してください。なぜ掃除と給油が特別教育から除外されているかというと、これらの業務は、その内容からみて、雇い入れ時教育または作業内容変更時教育で義務付けられた安全衛生教育(安衛則第35条)で、安全を確保するための教育上の要件は十分満たしているということから、特別教育は必要ないとされたからです。
③のワークを支える作業は、明確に記載されていませんが、ワークを支えるということは、運転を停止していなければできませんので、停止中の作業ということで特別教育の対象外とすることが可能と判断されます。ただし、単なる駆動源の遮断、特にクラッチを切っている場合は、①とおなじく、特別教育の対象となります。
しかし、繰り返し述べましたが、安全な作業を行うには安全教育は不可欠です。せっかく教育するなら法定時間を満たした特別教育をした方が、作業者にとっても会社にとってもお互いによいとは思いませんか。
出典:「産業用ロボットQ&A 100問」白﨑淳一郎著/労働新聞社刊(1,400円+税)
■白﨑 淳一郎
Junichirou Shirasaki
一般社団法人 白﨑労務安全メンタル管理センター代表理事