ジャパンユニックスのはんだ付技術基礎知識(15)

IPC導入事例 vol.2 セレスティカ・ジャパン NEC宮城から外資系EMSへ組織転換の核となったIPC標準規格 (後篇)

◆全員がIPC認証資格取得 良/不良の判断が明確に セレスティカ・ジャパン 千葉達也氏

-IPCを採用したメリットは?
宮城というローカルな地に拠点を構える企業が、世界を相手に商売を続けていられるのは、IPCがあればこそです。
NECという大きな看板がなくなり、さまざまな変化がありました。例えば、人材採用でもNEC宮城だった頃に比べて応募してくる人数は大きく変わりました。でも最近は、東京に行かなくても宮城でグローバルな仕事をしたいという積極的な人材が増えてきました。地方にいながらにして世界とビジネスができる基盤があるのはとても大きいと感じています。
-具体的にどのような取り組みをされていますか?
2002年3月、NEC宮城からセレスティカになり、5月にIPC-A-610の認証資格を取得しました。 セレスティカは、グローバルでIPCを採用しており、グループ内でのトレーニングも他拠点から派遣してもらうことができます。その翌月からは、最大顧客である国内通信キャリア向け以外のEMSを請け負う部署作業員に対し、IPCの見方と使い方のトレーニングを行いました。この部門は、今でいう多様化製品市場を担当する部署であり、業種も製品も異なる多くの案件を請け負います。従って、現場がIPCを習熟していることが必須でした。今では全員がIPCの認証資格を取得しています。
私も2003年9月には、トレーニング経験人数が100人を超え、マスタートレーナーの認証を受けることができました。また、IPCのトレーニングを受けた従業員も、これまで固定した仕事とやり方にどっぷり浸かっていましたが、IPCの使い方を教え、良/不良の基準を明確にすることで、どんなお客さまにも対応できるように変わっていってくれました。
-実際にIPCをどのように活用しているのですか?
原本をそのまま使っています。判断に迷った時などにIPCの原本を見て判断するようにしています。
EMSの難しいところは、お客さまによって要求が違うということです。だから、お客様基準を解釈して、製造する製品ごとに自社基準を全て作っていたら時間も手間もコストもかかってしまいます。その点、IPCは汎用性が高く、ほとんどのお客さまの要求に対応できます。万能で助かっています。
また、これまで使っていた社内基準は、手書きやワープロ、白黒でした。IPCは、イラストと写真による図解と解説が詳しく掲載されていて、誰でも見やすくなっています。社内基準とIPCを合わせて使うことにより、正確でスピーディーに良/不良の判別がつけられるようになります。
-今後について
日本企業は、各社が独自基準を作り、部材も標準部品を避ける傾向があります。独自基準と特注部品が高付加価値を生み、差別化になると思っている節があります。しかし、実は、それこそがコストを高くし、競争力を弱めてしまう可能性に気づいていません。
標準部品を使い、IPCのような国際標準規格を採用して標準的な工法を使う事に慣れれば、今よりもっとコストを下げることができます。付加価値や競争力は、その製品におけるコアな部分や機能に絞ることが重要です。
日本人はEMSの使い方が決してうまくありません。当社ももっと活用してもらえるよう努力しなければなりません。
また、IPCの標準規格は、610の組み立て品以外にもあります。部品や生産ステップに関しての基準も出てきています。グローバル市場で認められているIPCを採用すれば、製品の品質、信頼性、お客様のニーズに応えることになります。弊社も、グローバル拠点と連携を取り、今後もIPCに積極的に取り組んでいきたいと思っています。

■ジャパンユニックス■
(東京都港区、河野正三社長)
1974年の創業以来、最新鋭の分析機器を活用してはんだ付に関する基礎研究を進める一方、レーザーや超音波はんだ付など最新技術を取り入れたはんだ付装置の開発を行っている。世界各地の車載部品、スマートフォン、EMSをはじめとする主要メーカーに数多くの技術支援を行っている。
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