目前に迫る第4次産業革命、 今、SAPが描く企業のデジタルビジネス変革とは?(前編)〜SAPジャパンの超リアルタイムビジネスが変える常識(20)〜

 

5つのテクノロジー中心に 破壊的なイノベーション生み出す

第4次産業革命の到来が呼ばれ、デジタルを活用した変革によって、誰もが新たなイノベーションが起こせる時代が到来し、市場での競争は熾烈さを増しています。「Discover Simple 今日の願いを明日の躍進へ」というテーマで、11月12日にザ・プリンスパークタワー東京で開催されたSAP Forum Tokyoの基調講演では、SAPのエグゼクティブ・ボード・メンバーとして、グローバルサービス&サポート組織を指揮するミヒャエル・クライネマイヤーが、IoTを通じて第4次産業革命のグローバル企業の動向と、SAPが描くデジタルビジネス変革について講演を行いました。
■従来の業界の垣根を越えた新たなビジネスモデルの台頭
2020年までに80億の人々と750億台のデバイスがネットにつながり、44兆テラバイトものデータが生成される時代。データを中心としたテクノロジーがあらゆるビジネスの主役になることは間違いありません。急速なデジタルシフトが進む中、その変革を牽引している5つのテクノロジーがあります。
1.ソーシャル&ビジネスネットワーク、モノのインターネット(IoT)、モビリティを中心とした「ハイパーコネクティビティ」
2.SaaS、PaaSなどの「クラウドコンピューティング」
3.データを保護する「サイバーセキュリティ」
4.インメモリーやビッグデータなどの「スーパーコンピューティング」
5.ロボティクス、3Dプリント、機械学習、人工知能などに代表される「スマートな世界」
現在、あらゆるビジネスがこの5つのテクノロジーを中心に、破壊的なイノベーションを生み出しています。
例えば、スポーツ用品メーカーのアンダーアーマーは、ただスポーツ用品を販売するだけでなく、センサを組み込んだスポーツウエアを通して3800万人とつながるデジタルヘルスプラットフォームを展開して、今までにないビジネスを開始しています。EC事業社のアリババは、物流倉庫を持たずに約10億品もの商品を流通させるビジネスを展開し、さらに金融市場にも進出しようとしています。定額制動画配信サービスのNETFLIXの登場は、レンタルを中心としたこれまでのビジネスモデルを淘汰しました。クライネマイヤーは「デジタルによって、ビジネスのルールは大きく変わりました。あらゆる企業が従来の業界の垣根を越えてビジネスを拡大していく時代が始まろうとしています」と指摘します。
■IoTの出現により、第4世代の産業革命が世界に拡大
その中でも、第4世代の産業革命を牽引する大きな役割を果たしているのが、モノのインターネットと呼ばれるIoTの出現です。すべてのモノがつながり、お互いがセンサを通じて情報をやり取りすることで、効率化が進み、製造のあり方も変わっていきます。
「これからは、IoTをビジネスでどう活用するかがカギとなるでしょう。ドイツは国策でインダストリー4.0を推進し、アメリカも中国も日本も国策で同様の施策を打ち出し、製造の効率化を図っています。人件費が高騰し、人材もひっ迫している中で、IoTがいかに今後の起爆剤となるかに私は注目しています」(クライネマイヤー)
さらに「IoTで重要なことは、単なる効率化ではなく、デジタル化によりビジネスを変革することにある」とクライネマイヤーは話します。例えば、ドイツのコンプレッサーメーカーであるケーザーは、自社のコンプレッサーにセンサを付け、空気の圧縮レベルなどのデータを収集しながら、予防保全を実現しましたが、ケーザーはさらに「顧客が欲しいのはコンプレッサーの機械でなく、圧縮空気」という点に着目し、使用した空気の量に応じて料金を徴収するビジネスモデルを確立しました。また、オートバイ専業メーカーのハーレーダビッドソンは、Webサイトからあらゆるパーツをカスタマイズしたオリジナルバイクをオーダーできるようにして、従来は納期の21日前に締め切らざるを得なかった生産計画のタイムリミットをわずか6時間に短縮しています。従来のビジネスプロセスをデジタル化により変革したのです。
さらに、ドイツ最大の貿易港であるハンブルグ港の港湾では、現在の敷地を拡張することなく、コンテナ貨物取扱量を2025年までに従来の2.5倍まで高めるという目標に向けて、港湾にかかわる企業をすべてテレマティクスでつなぎ、港湾全体の交通量をデジタル化してリアルタイムに把握することで、従来の物流業務を変革する取り組みを、SAPと共同で加速させています。
(SAP編集部)

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