日本電気計測器工業会(JEMIMA、小野木聖二会長)は、海外拠点売り上げも含む2016〜20年度の電気計測器の中期需要見通しを発表した。16年度は前年比2.3%増の7992億円で、以降年平均成長率1.1%で伸長を続け、20年度には8362億円に達する見込みだ。また、海外拠点売り上げを除く、国内と輸出の合わせた売り上げは16年度5816億円で、20年度には6023億円になると予想している。
電気測定器とPA計測制御機器が牽引
海外拠点売り上げも含む15年度の実績は、前年度比4.6%増の7809億円。海外拠点売り上げが、中国などの新興国を中心とした経済減速などで同1.9%減の2119億円となったが、国内と輸出が6.8%増の5690億円と伸長した。
16年度は、国内市場がインフラ整備や設備投資意欲の増加などにより、売り上げ増が見込めるほか、海外拠点売り上げも資源、エネルギー関係の増加が見込まれる。
製品群別では、電圧・電流測定器やオシロスコープ、スペクトラムアナライザなど電気測定器は、16年度が2.2%増で、20年度までの年平均成長率3.2%の1333億円になる見込み。
CO2削減を目的とした電気自動車関連や自動運転関連技術投資の増加、次世代モバイル技術である5GやIoTなどの無線LAN環境の広がりによるネットワーク、および端末関連への投資拡大を期待している。
一方で、円高、英国のEU離脱問題、中国の経済成長の鈍化などによるマクロ経済の不透明性が挙げられる。
電気計測器需要全体の約40%と最も大きな比率を占めるDCSや流量計、温度計、調節計などPA計測制御機器の受注は、15年度が同6.3%減の2339億円。輸出が6.4%増の753億円と伸びたが、国内の官公需、民需が2桁のマイナスとなったことが響いた。
16年度は同1.7%増の2378億円となる見込み。中国経済の低迷や円高などから輸出が0.4%増の756億円とほぼ横ばいで、国内も官公需は上下水道の老朽化設備更新の需要増などで同5.7%増の393億円となり、民需も化学分野自動車向け高機能材料の生産能力増強やアジア地域の新増設需要などで同1.2%増の1229億円となる見込み。
17年度以降は1.5〜0.7%増で推移するものの、伸び率は年々鈍化する。輸出は東南アジア向け水処理施設向けなどの環境関連投資の伸びが見込まれ、国内の官公需も徐々に減少する。民需は化学分野のアジア地域の新増設、機械分野の半導体製造装置、複合環境試験装置、電力分野の火力発電所などの新設や既設の保守点検、IoT関連投資などが増加する要因。
なお、15年度の機種別国内生産額は、発信器が780億円で、この内訳は、流量計283億円、温度計159億円、差圧計115億円、圧力計93億円、液位計75億円、その他55億円となっている。プロセス用監視制御システムが594億円で、内訳はデジタル計装制御システム550億円、プロセス・コンピュータ・システム35億円、その他の制御システム9億円。プロセス用分析計が189億円で、内訳は液体分析107億円、ガス分析82億円。受信計が148億円で、内訳は指示・記録計76億円、調節計60億円、補助機器12億円。その他が147億円で、計器盤操作盤46億円、工事費・調整費40億円、部品付属品20億円、その他41億円。