企業間コラボ 簡単に実現 デジタルビジネス変革を支援
第4次産業革命の到来が呼ばれ、デジタルを活用した変革によって、誰もが新たなイノベーションが起こせる時代が到来し、市場での競争は熾烈さを増しています。「Discover Simple 今日の願いを明日の躍進へ」というテーマで、11月12日にザ・プリンスパークタワー東京で開催されたSAP Forum Tokyoの基調講演では、SAPのエグゼクティブ・ボード・メンバーとして、グローバルサービス&サポート組織を指揮するミヒャエル・クライネマイヤーが、IoTを通じて第4次産業革命のグローバル企業の動向と、SAPが描くデジタルビジネス変革について講演を行いました。前回の続きをお送りします。
■SAP S/4HANAを中心としたデジタルビジネスソリューションの提供
IoTの可能性に期待が集まる中、SAPでは今年リリースされたSAP S/4HANAを中心に据え、企業のデジタル化を加速します。SAP S/4HANAは2010年にSAPが提供を開始したインメモリーデータベースSAP HANAに最適化されました、事前集計テーブルはすべて排除され、データは最も細かい取引の粒度で存在します。従来は事前集計していた損益計算(P/L)も、SAP S/4HANAならその場で最新の数値をリアルタイムに確認できます。
さらに、SAPは企業内だけでなく、企業外とのやり取りもデジタル化を推進します。企業間取引のAriba Networkによってサプライヤーとのコラボレーションを実現し、現在は180万ものサプライヤーがネットワークでつながっています。また、外注管理のFieldglassを使えば、必要な人材の一時的な雇用も簡単です。オムニチャネルコマースソリューションのhybrisなら、B2B、B2C、C2CのEコマースをスピーディに立ち上げることもできます。IoTの世界では、SAPはインメモリー方式のクラウドプラットフォームSAP HANA Cloud Platformで、機器とのつながりを実現しています。SAP HANA Cloud Platformなら分析環境もロジスティクス環境も容易に準備ができます。ハンブルグ港湾局のように、多くの企業とコラボレーションしたり、ときにはカスタム開発で個別のニーズに応えたりすることも可能です。「SAP HANA Cloud Platformは、すべてのサービスの中核となるもので、クラウドサービスやオンプレミス環境とつなげて、より多くのシステムと統合することもできます。その結果、各種サービスをプラットフォーム上にビルドして、イベントがあれば即座にトランザクションを実行することも可能になるでしょう。必要なツールもクラウドを通して常に提供されるため、企業間のコラボレーションは非常に簡単です」(クライネマイヤー)
また、IoTで避けて通ることができないのがビッグデータへの対応です。センサやデータの種類は多様化が進んでおり、企業はペタバイトクラスのデータを管理する手法を学ばなければなりません。SAPではビッグデータに対応するために、分散処理技術のHadoop向けインメモリークエリーエンジンのSAP HANA Voraを2015年9月に発表しました。SAP HANA VoraはSAPのインメモリーコンピューティングの技術を分散データに拡張し、IoTで生成される大量のデータに対して、リアルタイムに詳細な分析が実行できるようにしたものです。クライネマイヤーは「テクノロジーを採用する企業が増えている中で、データから意味のある情報を取り出すことを支援するSAP HANA Voraは、今後のビジネスのあり方を変えていく可能性があります」と述べています。
■SAPグローバルサービス&サポートによる開発の短期化
SAP S/4HANAを中心に、SAP HANA Cloud Platform、従業員サポート、サプライヤーのコラボレーション、オムニチャネルの5つのポートフォリオでビジネスのデジタル化を推進するSAPでは、SAPグローバルサービス&サポートによって、デジタル化への移行を支援するプログラムも用意しています。従来は納期が3年もかかる長期プロジェクトもありましたが、SAPの持つ43年の知見を提供し、開発の短期化を支援していきます。
例えば、業種に合わせたモデルカンパニーをSAPがパートナーと共同で開発し、それをお客様に提供することも可能です。お客様はモデルカンパニーにデータを移行して、FIT&GAPで差分を改修するだけで済むので、大幅な納期の圧縮が期待できます。実際に自社で行っていた開発をバックエンドで行い、数週間で本稼働を実現した10万人規模の企業の事例もあります。
また、あるプロジェクトではSAP S/4HANAをパブリッククラウド上に導入し、標準化にかかる時間を短縮しました。さらに、タレントマネジメントソリューションのSuccessFactorsや、経費精算のConcurなどと連携し、導入負荷を軽減しています。SAPでは今後、4万9000のビジネスパートナーやコンサルタントの協力を得ながら、従来の工数ベースでなく、結果に対してデリバリーするビジネスを開拓していく予定です。
SAP R/2、SAP R/3時代、企業にとって検証やテストの工数は大きな負担になっていました。最新のSAP S/4HANAなら不要なテストや検証を排除でき、工数をかけずに利用することができます。クライネマイヤーは最後に「みなさんの支援をいただきながら未来への道を切り開き、デジタルビジネス変革を支援してまいります」と語り、講演を締めくくりました。
(SAP編集部)