ソフトウエアベンダーの動き
実際のソフトウエアベンダーの動きをみてみよう。PLM世界市場で、最大のシェアを持つのはダッソー・システムズである(矢野経済研究所調べ)。
同社は、2013年に有力MOM/MESベンダーであるアプリソ社を買収した。現在、アプリソはダッソー・システムズのデジタルファクトリー「DELIMIA」に統合されている。
また、シーメンス(シーメンスPLMソフトウエアが同シェア2位
矢野経済研究所調べ)も有力MOM/MESベンダーのキャムスター社を2014年に買収している。同シェア3位のPTCはIoT基盤ベンダーであるThingWorx社を2014年に買収した。
PTCは2015年のイベントで、自転車に7つのセンサーを取り付け、そのセンシングデータをThingWorxのIoT基盤を経由して、それと対をなすデジタルな自転車(デジタルツイン)へリアルタイムに反映させるといったデモを公開している。国内では富士通が以前より展開するバーチャルファクトリー「VPS」、生産ラインシミュレーター「GP4」について、PLMやSCMなどとの連携強化を打ち出しており、デジタルツインの実現では負けていない。
SAPはERPを中心としており、PLM、ビューワ/DMUなどのソリューションをそろえることにより、エンジニアリング系情報との接続性を意識してはいるが、CAD/CAM/CAEなど、コアなエンジニアリング系ツールはカバーしていない。しかしIoT基盤など全業種対応するソリューションには強みを持ち、製造業にもバリュー提供を図る。
『2015 IoT時代の製造業ITソリューション -インダストリ4.0など次世代ものづくりとITベンダの戦略-』(矢野経済研究所 180,000円)より一部転載
■矢野経済研究所 主任研究員 忌部佳史
2004年矢野経済研究所入社。情報通信関連の市場調査、コンサルテーション、マーケティング戦略立案支援などを担当。現在は、製造業システムなどを含むエンタープライズIT全般およびビッグデータ、IoT、AIなどの先進テクノロジーの動向調査・研究を行っている。経済産業省登録 中小企業診断士