2017年を迎えるに当たり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
皆様には、気持ちも新たに新年を迎えられたことと思います。
昨年を振り返りますと、国内景気については7~9月期のGDPが3期連続のプラス成長となるなど緩やかな回復が続いたものの、消費や投資の拡大には及ばず、力強さを取り戻すまでには至りませんでした。
世界を見ますと、英国のEU離脱の選択、中国の鉄鋼過剰生産、資源価格の低迷等経済の不安定要因が拡大し、ブラジル大統領選の罷免、韓国大統領の弾劾訴追、イタリア首相の交代、トランプ米次期大統領の選出等主要国リーダーの交代等不確実性を高めるような出来事が多かったように思えます。こうした中、我々産業機械業界の2016年度上半期の受注は、国内外ともに前年同期を下回り、上半期としては2年連続でマイナスとなりました。内需は官公需が下支えしたものの民需が振るわず、外需は4年ぶりに8000億円を下回るなど、厳しい受注環境が続きました。
今年は、わが国が一層の景気回復と経済再生を実現し、デフレ脱却に向け大きな一歩を踏み出すための、極めて重要な1年になると思われます。あらゆる政策や手立てを総動員することにより、経済成長の原動力である企業と個人の力をさらに高め、これを最大限に発揮させていく必要があります。
また、第4次産業革命に的確に対応しながら、日本の「ものづくり」をさらに進化させ、企業の技術力や生産性を抜本的に高めていくとともに、少子高齢化による人口減少がもたらす労働力不足の問題など、様々な社会的課題やエネルギー・環境問題等の解決にもつなげるなど、国民一人ひとりが将来への希望と自信を持つことができる豊かで活力あふれる経済社会の実現を目指していくことが重要であると考えます。
我々産業機械業界としては、自らの構造改革を一段と進め、競争力を高めていくとともに、産学連携や企業間連携を推し進め、イノベーションを生み出すスピードを加速していくなど、高品質で信頼のおける製品と高い技術力の提供に取り組み、民需主導の持続的な成長を目指した「未来への投資」の拡大に貢献していきたいと考えます。
同時に、世界に誇るエネルギー・環境分野に関する技術やサービスにさらに磨きをかけ、世界各国のエネルギー効率の改善や低炭素化・省資源化などへの取り組みに積極的に協力していくことで、地球規模での温暖化防止と循環型社会の構築に貢献していきます。
政府におかれましては、成長分野を育成する規制改革に引き続き取り組まれますとともに、AI・IoT等の活用やイノベーションを支える技術開発・設備投資を活発化させる等、民間企業の価値創造を後押しする各種支援のさらなる充実を図っていただきたいと思います。
また、経済のグローバル化への批判や保護主義的な動きの強まりなどが懸念される中、世界の貿易自由化の旗振り役として、開かれた経済の実現を目指すため、高いレベルの貿易と投資のルール作りに粘り強く取り組まれますことを期待しております。
年頭にあたり考えるところを述べさせていただきましたが、関係各位におかれましては一層のご指導、ご協力をお願いしますとともに、皆様のご多幸を心からお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。