一元管理、大きなベネフィット
神奈川県座間市に本社を置く株式会社マグトロニクスは、製造業の生産設備に必要な制御盤・操作盤・配電盤やケーブル・ハーネスの製作を中心に「制御を取り巻くトータルソリューション」を提供し、日本が誇る工作機械、半導体製造装置、ロボットなど高度な技術を要する生産設備分野を支えています。
従来、同社では製作図を電気図面から手作業で起こしていました。そのため、多大な工数と図面間の不整合などがどうしても発生しており、電気CAD導入によりこの課題解決を目指しました。「まずは、生産現場の効率化を目的として、Komax自動機の導入検討から始めました。導入に向けて本格的に検討に入った折、EPLANがKomax自動機と連携できることを知りました」(株式会社マグトロニクス 技術本部 部長代理 青木誠氏)
選定理由
多くの電気CADがある中で、マグトロニクスがEPLANを選定した主な理由は以下の3つです。
・Komax自動機との連携ができる
・求める機能が十分に網羅されている
・グローバルなサポート体制が確立されている
EPLANでは電線加工機メーカーKomaxAG社が販売する装置へ設計データを変換することなく、データの送信ができるため、電線加工のリードタイム短縮と工数削減が両立できます。今回採用された“EPLAN Electric P8”では、関連するすべての設計データが一元管理されています。「今まで部品表や接続リストを手作業で出していた工数を大幅に削減することができました」(青木氏)
マグトロニクスは将来的に現地機械メーカーとタイ工場の間で仕事が完結できる体制を目指しています。世界50カ国に拠点をもち、17の言語でサポートされた、EPLANのグローバルサポート体制は大きなベネフィットになります。
■効果①工数削減、ヒューマンエラーの撲滅、技術継承
マグトロニクスでは手作業の自動化により、発注ミスや接続先の間違い、電線サイズの間違いなどのヒューマンエラーが激減しました。また、電気CAD部品ポータルサイト“EPLAN Data Portal”では、2016年11月現在171社、69万機種のデータが公開されており、工数削減、設計の効率化に役立っています。顧客仕様にあわせた一品ものの盤製作は使用する部品も多いですが、部品データを「作図」するのではなくドラッグ&ドロップで「取り込む」ことで効率的な作図を実現しています。「まだ網羅性に欠ける部分はありますが、Data Portal上に無いデータも部品メーカーの3Dデータを用いて簡単に組み込むことができるので助かっています」(青木氏)
また、EPLANプラットフォームは日々熟練技術者の知見を蓄積できるため、技術継承や人材活用といった面でもメリットがあります。「一般的なお絵かきCADでは電気設計の知識がないと設計ができないですが、EPLANは経験の浅い人でも高品質な設計ができ、設計リソースの観点からも大きなメリットがあると感じています」(青木氏)
■効果②海外進出
「エンドユーザーでEPLANの採用が進んでいて、海外進出企業を中心に、他業種からの引き合いも増えるなど、思いがけない効果もありました」(青木氏)。日系企業と現地企業とのプロジェクトも今後増えていくことは確実で、グローバル企業では国や企業をまたいだ標準化が必須です。「例えばエンドユーザー-工作機械メーカー-マグトロニクスすべてでEPLANが使用されれば、さらに60~70%は設計業務効率が上げられると感じています」(青木氏)
日本の工作機械メーカーの競争力強化に貢献したい
■展望
「特注品はもちろん、“汎用機でも日本のメーカー”といわれるように品質、スペック、コストメリットが出せるように手助けしたいです。そのために当社も価格競争力や、突発的な仕様変更への対応力を高めていきます」。マグトロニクスの菅正彦社長は熱い想いを持っています。また、製品開発段階から盤設計、製作、メンテナンスまでできるトータルソリューションメーカーを目指し、電気設計から製造までつながるワークフローを考案中といいます。
盤メーカーのみならず、日本の製造業界全体が世界標準の電気CADを使うことで、設計段階からサービス/メンテまでひとつのデータでつながり、競争力向上につなげることができます。また、EPLANの姉妹企業であるRittalの標準化された盤用のボックス、キャビネット、分配電、温度管理システムと合わせ、全ての設計工程を一元管理できることで、大きなベネフィットが提供できます。
ドイツのIndusteie4.0、中国の製造強国2025など製造業における標準化と効率化が国家プロジェクトレベルで進み、生産人口の減少、技術継承問題など課題も山積しています。
日本も、新興国を含めた国際競争を勝ち抜くためには、高い品質はもちろん、コスト低減や、マーケットニーズに即した製品の速やかな市場投入がより重要になります。そのためにも電気設計を含めた効率化を積極的に進め、再びJapan as №1になるための準備を怠らず進める必要があるのではないでしょうか。
EPLANは電気設計の効率化を全力でサポートします。
◆EPLAN Software & Services 株式会社
井形哲三 代表取締役
1983年三井金属鉱業入社。同社で自動車部品のメカ設計に従事し、その後北米にて駐在員として同市場を拡大。1996年よりITベンチャーのインクスにて、3DCAD、3D Printer、短期金型製作などITで製造変革を行うビジネスに従事する。2010年より解析ソフトの大手であるESIグループにてアジア地区営業責任者として製造業のITのビジネスの発展拡大に貢献。2016年よりEPLANの日本での拡販のために就任。日本製造業のITを駆使したプロセス改革を同社のソリューションをキーに、製造業の強化を目指す。