三菱電機は、発電機の固定子と回転子の間のごく狭い隙間を走行できる厚さ19.9ミリの発電機用薄型点検ロボットを開発した。回転子を引き抜くことなく、発電機内部を短期間で高精度に点検できることで、発電機保守点検のコスト抑制・信頼性確保・稼働率向上につながる。
開発した薄型点検ロボットは、発電機の固定子と回転子の間のごく狭い隙間を走行しながら、「ウエッジ(くさび)緩み評価」、「カメラによる目視点検」、「発電機固定子鉄心の欠陥検出試験」の3つの点検項目を6日間で高精度に点検できる。
回転子を引き抜く精密点検では34日間を要するが、このロボットによる点検結果を反映することで、精密点検周期の延長や当該点検時に必要となる補修部材の事前準備が可能になる。
また、従来の一般的な保守点検ロボットは、ロボット全体の厚みが30ミリもあったため、約3分の1の発電機で固定子と回転子の間の隙間に入り込めず、ロボットによる点検ができなかった。
新ロボットは、走行ベルトを平板で支える走行機構を独自開発することで薄型化と、低振動走行による安定した点検データ計測を両立した。
さらに、ウエッジの緩み評価では、カム構造を適用したタッピング機構を独自に開発し、機構の薄型化と打診検査時の打撃力向上(従来比約10倍)を実現している。
同時に、打診検査とウエッジ緩みを段階的に検知する振動解析技術を組み合わせることで、従来は3段階であったウエッジとして緩みを5段階で検知することができる。
なお、このロボットは外販せず、同社の中・大容量発電機の保守点検作業用として、2月から運用していく。