Q
実技の講習は、市販されている産業用ロボットではなく、単軸のロボットを組み合わせて製作したX、Y、Zのロボットでも構わないのか?
A
自動車教習機関等産業用ロボットを持っていない企業が産業用ロボットの特別教育を行うケースが増えてきました。法令上は差し支えないのですが、自ら産業用ロボットを持たない場合は、学科教育のみの修了証を発行し、実技教育は受講生のそれぞれの企業に戻ってから行うというのが一般的でした。
しかしながら受講生の企業から、簡単な実技教育も実施してほしいという依頼にも一定程度応えざるを得ないという状況も分からないではありません。
ということで、単軸のロボットを組み合わせてX、Y、Z方向に可動するロボット(以下「自社ロボット」という)を製作して、これによる実技教育を行うことが認められるかということですが、どのように組み合わせるかは不明ですが、イメージ的にはシーケンスロボット的になるものと思われます。
その場合、マニプレータが300㎜以上動けば原則的には産業用ロボットに該当するのでこれによる実技は可能と思います。しかしながら、特別教育実施の趣旨は当該作業者の安全のためにあります。当該作業者がプレイバック型や知能ロボットを使用しなければならないときに、それ以外のロボットでの実技教育を受けて、果たして役に立つでしょうか。
自社ロボットでの実技教育が絶対に不可という訳ではありませんが、修了証を交付するときは、自分の会社のロボットでの実技教育を必ず受ける旨、申し添えるべきだと考えます。できれば修了証にもその旨の記載があると良いと思われます。労働災害が発生すると、労基署はクリアできますが民事での損害賠償が教育機関にも提起されることがあるからです。
出典:「産業用ロボットQ&A 100問」白﨑淳一郎著/労働新聞社刊(1,400円+税)
■白﨑 淳一郎
Junichirou Shirasaki
一般社団法人 白﨑労務安全メンタル管理センター代表理事