インダストリー4.0やIoTなどへの取り組みがグローバルで進む中で産業用ネットワークを取り巻く環境は激変しているが、スウェーデンの独立系サプライヤーで、産業用通信やIoT向け製品・サービスを展開するHMSインダストリアルネットワークス社は、「産業用ネットワーク市場シェア動向
2017」をまとめた。これによると、16年は産業用Ethernetの採用が15年からさらに8ポイント増加して46%と50%近くに成長している。また、ワイヤレス通信が2ポイント増の6%となり、堅調な拡大をみせている。産業ネットワークの各団体が囲み込み戦略から、それぞれのネットワークの特徴を生かしながら、より多くの産業用ネットワークとの接続性高める方向に向かいつつある中で、産業用Ethernetの勢いはさらに加速しそうだ。
IoT化で接続性ポイント
HMSは16年に世界中のFA分野で新規設置されたノードに重点を置いた産業用ネットワークの市場調査を行った。
これによると、産業用Ethernetとワイヤレスを合わせた市場シェアは52%となり、フィールドバスの48%を上回る。
ネットワーク別では、EtherNet/IPとPROFINETが共に11%と首位で、PROFINETは欧州で優勢、EtherNet/IPは北米でリードを保つ構造に変化はない。グローバルでは、これにEtherCAT7%、Modbus-TCPとPOWERLINKが各4%と続いている。
このように、新規の設置ノードでは、Ethernetベースの産業用ネットワークへの移行が加速している。HMSのマーケティングディレクターのアンダース・ハンソン氏は「産業用Ethernetへの移行は、IIoTのみならず、高速化へのニーズや工場設備とITシステム間の統合の実現が大きな要因」と見ている。
これに対し、新規設置でEthernetに肉薄されたフィールドバスではあるが、現在も市場で最も広く使われているネットワークであることに変わりなく、シンプルさと信頼性を多くのユーザーが求めており、成長率は鈍化したものの、今なお成長している。
グローバル市場でのフィールドバスのシェアは、PROFIBUSがトップで14%、続いてModbus-RTUとCC-Linkが各6%となっている。
地域別では、欧州や中東では、現在のところPROFIBUSの使用が多いが、成長率が高いのはPROFINETで、これをEtherCAT、Modbus-TCP、POWERLINKが追っている。
また、米国ではCIPネットワークが大きな影響力を保っており、市場シェアではEtherNet/IPがDeviceNetを逆転した。
一方、アジアは群雄割拠の状況が続いて市場をリードする際立ったネットワークが見られないものの、PROFIBUSやPROFINET、EtherNet/IP、Modbus、CC-Linkが広く利用されている。さらに、EtherCATが有力ネットワークとしての地位を固めつつあるほか、CC-Link IE Fieldの勢いも増している。
これに対し、最近急進しているのがワイヤレス技術で、中でもWLANが最も普及しており、次いでBluetoothとなっている。「機械メーカー各社が、タブレット端末やスマートフォンなどのBYOD(私有デバイスの活用)を含め、革新的なオートメーションアーキテクチャや新しいソリューションで接続や制御を実現すべく、ますますワイヤレス技術を利用するようになっている」とハンソン氏は説明している。