第3回日本カイゼンプロジェクトが2月24日、TIP*S(東京都千代田区)で中小企業基盤整備機構の共催により開かれた。
日本カイゼンプロジェクトは、改善の実行を通じて日本をさらに良くしようという柿内幸夫技術士事務所の柿内幸夫所長を中心とし、会員のビジネスマッチングから問題・課題へのソリューションの提供、新たな技術や素材への情報提供を行っている。そしてそれらの基礎となる勉強会の開催などを行い、使いやすく効率的なプラットフォームとして機能することを目指している。第3回となる今回のイベントでは、生産管理の新しいやり方を追求している構造計画研究所の野本真輔技術担当部長を講師に招き、生産管理を一方的にシステムに任せるのでなく、みんなで知恵や情報を持ち寄って最適な結果を導くいかにも日本的な現場の管理システム「ADAP」のコンセプトや導入事例、導入後に現場を巻き込んで組織全体を通じた風土改革につながった事例が紹介された。
冒頭、柿内氏は日本にしかできない経営改革手法について提言。インダストリー4.0を推進するドイツはトップダウンの戦略、日本はボトムアップの戦術を得意としており、日本の製造業がかつてすり合わせにより強さを発揮していたが、デジタル化の進展により大量生産時代には競争力が発揮できなくなったことを解説。しかし、ここにきて顧客と距離と時間が近い必要がある「マスカスタマーゼイション」化が進展し、昔から顧客に密着して相手を尊重してものづくりを行っていた日本にとってはチャンスになっていることや、部品のすり合わせだけではなく現場担当者から経営者まで巻き込んで、現場現物でわいわいがやがや(ワイガヤ)と「知のすり合わせ」を行うことで、日本にしかできない実行可能な戦略が生まれることが解説された。
講演後は自動車、食品、電子デバイスといった製造業から人材活用、不動産業など各業界からの参加者が懇親を深め、活発な情報交換とネットワーク構築が行われた。日本カイゼンプロジェクトは年3回程度の頻度で開催が予定されている。詳細はhttp://www.kaizenproject.jp/。