日本電気計測器工業会(JEMIMA、小野木聖二会長)は、熱中症計に関するJIS規格の制定に向けた活動を行ってきたが、3月21日付で「JIS B 7922 電子式湿球黒球温度(WBGT)指数計」として公示された。日本で制定した世界初の規格であることから、今後ISO国際規格として、制定に向けた活動を進める。
このJIS規格は、WBGT指数をより実用的、かつ高い信頼性で測定するための計測器が対象で、JIS規格に適合したWBGT指数計(熱中症計)を労働現場、スポーツ施設などに設置して用いることで、熱中症の発症や事故の発生低減での効果が見込める。
WBGT指数は、熱中症の発症と高い相関関係があるため、熱中症の発症リスク評価に使用されており、国内ではJIS Z 8504「人間工学-WBGT(湿球黒球温度)指数に基づく、作業者の熱ストレスの評価-暑熱環境」として規格化されている。
制定されたJIS規格では、適用範囲、引用規格、用語および定義、指数計の種類、測定原理、測定範囲、性能、構造、性能試験、試験報告書、表示、取扱説明書などで構成。JISの対象になるWBGT測定器は黒球ありのものとなっており、日本では現在4社、海外で2社と販売しているが、JIS化によって新たな参入も見込まれている。
熱中症による死傷者数は、年間400~500人前後で推移しており、建設業と製造業で多くなっている。
今回のJIS規格を作成にあたっては、JEMIMAがJIS原案作成委員会を構成し、労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所、日本人間工学会、厚生労働省、建設業労働災害防止協会、中央労働災害防止協会など、熱中症発症防止に取り組んでいる主な機関から委員が参加した。