一般社団法人日本電設工業協会 会長 山口 学
今年のJECA FAIRは、247社・724小間と過去最大規模での開催となりました。今、日本経済は、GDPが3期連続でプラスになり、雇用や所得環境も改善するなど好循環が広がりつつあります。特に、2020年の東京オリンピックに向け、民間投資の拡大やインフラ老朽化対策など建設需要の拡大が想定され、電設業界の期待は大きく膨らんでいます。
しかし、中長期的には少子高齢化といった人口構造の変化が労働市場や個人消費に及ぼす影響が懸念されます。我が国では、政府・経済界を挙げ「働き方改革」の論議が進められており、建設業界でも「生産性の向上」や長時間労働の是正、ライフ・ワークバランスなどを含めた「働き方」の見直しが課題となっています。
当協会が実施した「現場管理社員の長時間労働に関する調査」を見ても、現場管理社員の繁忙期1カ月間の所定外労働60時間超の割合は約8割、週休日は4週4休以下が9割と長時間労働の実態がうかがえます。このような実態を踏まえ、当協会では、現場業務の負担軽減ならびに生産性向上につながる「働き方改革」を新たな取り組みに加えるとともに、平成31年度までのロードマップとなる「新アクションプラン」の下、「夢と生きがいのある電設業界」を目指し事業活動を積極的に進めております。
当協会では、そのアクションプランの最重点項目に「担い手の育成・確保、生産性向上」を掲げ、「電気設備業界リクルーティングフェア」を実施しています。その一環として、当JECA FAIRでも「電気設備業界プロモーションコーナー」を設置し、現場で活躍している若手技術者が、電設業界の魅力や仕事のやりがいなどを語る「パネルディスカッション」の収録映像を放映するなど、来場の学生をはじめ学校関係者に「電設業界」を身近に感じ、知ってもらう取り組みを実施します。
今、世界では、IoTやビッグデータ、AI、ロボットなどによる技術革新、いわゆる第4次産業革命が急速に進展しています。この技術革新を的確に捉え対応していくことが、これからの成長への鍵とも言われています。
JECA FAIRでは、電気設備現場の省力化や効率化など、生産性向上に資する製品をはじめ最新技術を駆使した製品が多数出展されており、これらが新しい時代に向けて幅広く活用され、電設業界のみならず我が国の成長に少しでも寄与することを期待しております。
東日本大震災から6年がたちました。昨年は、熊本地震や北海道・東北地方への台風など、私ども電設業界は、国民経済生活を支えるライフラインを担う者として、災害・事故への備えを考えさせられた1年でした。
JECA FAIR 2017は「人を守る 暮らしを守る 電設技術が未来を守る」のテーマの下、自然災害に対する安全対策の一層の充実を図り、安心・安全な社会の実現に取り組みます。その一環として、防災、減災、災害時に役立つ電気設備製品を「復興支援コーナー」で紹介するとともに、東北・熊本の物産展を実施します。業界を挙げて応援をしていきたく、本コーナーへ足を運んでいただければと存じます。
最後になりましたが、実行委員会の皆様方には、JECA FAIRの企画、準備段階から大変ご尽力をいただきました。厚く御礼申し上げます。
本日から始まる3日間に多くの方々にご来場いただき、本イベントが成功裏に終えることを祈念して挨拶といたします。