ロームとシンガポール科学技術研究庁(Agency for Science,Technology and Research、略称A*STAR)の世界的な研究機関であるマイクロエレクトロニクス研究所(Institute of Microelectronics、略称IME)は、次世代工場向けに、センサノード上で装置の異常を検知する人工知能チップの共同研究を行うことで合意した。
従来の装置の異常検知は、複数のセンサから大量の情報を装置内のパソコンやサーバに送信してから処理するのが一般的だったが、WSN(Wireless Sensor Network)向けの無線通信技術は大量のデータを送り続けるには通信速度が足りず、今後増え続けるセンサの数に対応できなくなる可能性があるという課題があった。
ロームとA*STARのIMEは、センサからのデータをその場で処理し、異常を検知した場合のみ、その結果をサーバに送ることができる人工知能チップの共同研究を開始。ロームが保有する工場で得た大量のデータで実証された人工知能を用いた独自の解析アルゴリズムを、IMEとロームが得意とするアナログ回路を駆使した半導体回路技術に組み合わせてチップに実装することで、マイコンやFPGAなど既存の処理系では達成できなかったセンサノードでの高度な処理が可能となり、無線通信によるネットワーク構築を容易にするとともに、サーバ負荷の劇的な軽減を実現する。
また、ロームが持つセンサや無線モジュール、バッテリレスの通信技術であるEnOceanと組み合わせることで、あらゆる箇所に簡単にワイヤレスでセンサノードが設置できるようになるとしている。