産業用ロボットを導入する企業 森合精機
高耐久 洗浄機 組み立て精度向上
森合精機は、「油圧機器の製造」「洗浄機の製造」「減速機の製造」を行っています。この会社は、洗浄ニーズとそれを克服するための開発が行われてきて洗浄機の性能が非常に高く、またユーザ仕様のカスタマイズを行うことができるために生産ラインへの速やかな導入ができるだけでなく安定した操作性の洗浄機を供給できます。
この会社がなぜ産業用ロボットを使用した洗浄機を販売しているのか、その契機などを聞きました。
Q.産業用ロボット導入の契機は?
姿勢の自由度が圧倒的に良いのでタップ穴のような場所を洗浄する際に必須となります。また近年、ロボット単体の金額が安くなってきたのも導入の理由です。
Q.産業用ロボットを導入して良かった点は?
洗浄機を作る手間がかなり楽になります。例えば、NCでの洗浄機を作る場合はX、Y、Z、そして治具の動きをサーボモータで動かすのですが、機械の組み立て精度、サーボモータの設定値の調整がとても大変です。うまく調整できないと精度が悪くなり、ノズル先端の振れで、お客さまが求めるものにするのにとても苦労します。産業用ロボットを導入すれば、その労力を省くことができます。
また、在来比で非常に短いタクトタイムの洗浄が行えます。
Q.産業用ロボットの弱点は?
産業用ロボットの先端から200kPa以上の水圧をかけるとロボットの剛性がもたなくなってしまいます。洗浄機にとって、どれだけの水圧を製品にあてられるかで、できることが変わってしまいます。洗浄を行うだけであれば200kでも問題は無いのですが、バリ取りもやってほしいというニーズも多いために500kの水圧をかけたいのが本音です。
500kでも耐えられるロボットもあるにはあるのですが、高額なので洗浄機の相場には合いません。
Q.導入にあたって苦労した点は?
昔の話ですが、ロボットの中に水が浸入してロボットが不具合を起こしてしまい、お客さまからのクレームが多くありました。さらに、その不具合を修理しても、また別の箇所が不具合を起こしてしまう繰り返しで、苦労が絶えませんでした。
その問題をロボットメーカーであるFANUC様やDENSO様に解決依頼をしたところ、親身に弊社の要望を満たしてくれ、現在では耐久性の高いロボット洗浄機を構築できるようになりました。
Q.御社の洗浄機が他社と比べて優れている点は?
コンタミ(残留異物)測定装置の能力です。洗浄機の導入と共に重要なのは、洗浄後のワーク洗浄度を調べる測定装置の導入です。特に、自動車部品や電子部品などでは、0.1mm以下のごくごく微細な残留異物でさえ、大きな事故や欠陥につながることがあります。森合精機のコンタミ測定装置には、長年洗浄機開発に携わってきた技術が結集されています。
なお、洗浄だけでなく乾燥の度合いを数値化できることも、お客さまからご好評を頂いております。
Q.富士ロボットのティーチングソフトはどうですか?
購入のきっかけは、誰でも操作できて、しかも高機能。そんなソフトは値段が張るのが当たり前だと思いましたが、富士ロボットのソフトが安かったからです。
他の高機能ソフトは本体が高いだけでなく年間保守も100万円以上する中で、富士ロボットさんは年間保守も安いにもかかわらず、サポートが良いだけでなく、タイミングの良い時に顔を出してくれるので、とても頼りにしています。
また、現場での微調整は覚悟をしていましたが、現場向きの修正機能やキャリブレーション(補正)のノウハウも教えてくれるので、今まで狭い洗浄機の中に入って苦労してティーチングをしてきた弊社にうってつけの会社を選んだと思っております。
さらに、森合精機としてはエンドユーザ様に対して「ティーチングはどうしているか?」の見える化は信頼感につながるので、良い買い物をしたと思っております。
◆山下夏樹(やましたなつき)
1973年生まれ。富士ロボット株式会社(http://www.fuji-robot.com/)代表取締役。産業用ロボットコンサルタント。サーボモータ6つを使って1からロボットを作成した経歴を持つ。自社のオフラインティーチングソフトでさまざまな現場で産業用ロボットのティーチング工数を10分の1にするなど、生産効率UPを実現してきた。さまざまな現場での問題解決の方法を知る、産業用ロボットの導入のプロ。コンサルタントは「とりあえず無償相談から」の窓口を設けている。