経済産業省は、ロボットの普及に向けて、ロボットシステムインテグレータに必要な能力とレベルをまとめた「ロボットシステムインテグレータ(ロボットSI)スキル標準」と、ロボットシステムの構築プロセスをまとめたロボットシステムインテグレーション導入プロセス標準「RIPS(Robotsystem Integration Process Standard)」を発表した。
ロボットSIは、ロボットシステムを導入する際の提案から設計、構築業務の主導的な役割を担い、その能力がロボット導入の成功の可否を握る。ロボットSIスキル標準は、ロボットSIに必要なスキルを抽出し、レベルを分けて一覧でまとめたもの。
技術区分は12あり、それを最大7段階のレベルに区分。機械や制御などエンジアリング系の能力に加え、生産技術や営業技術、組織体制まで多面的に設定している。
例えば、機械設計では製図やCADの習熟度、ハンドや架台の設計能力を定め、電気設計では産業用ネットワークへの対応力や制御盤の設計・組み立て能力など。ロボット制御では制御プログラムやティーチング能力、このほか画像処理やシステム制御、電気配線などエンジニアリング系の能力をピックアップしている。また組織体制では秘密保持や特許や意匠の調査能力、安全教育を挙げ、このほか技術区分として営業や生産技術、安全対応などがある。
ロボットSIをスキル標準と照らし合わせることで評価が可能。どの分野の能力に秀で、どこが不足しているかを見える化でき、不足している部分は教育や人材採用、他社との連携で能力不足を補うといった具体的な対応策の検討が可能となる。
RIPSは、ロボットシステムの導入に際し、工程ごとに作成する文書を標準化したもの。これまではロボットSIと顧客の合意形成が曖昧なままプロジェクトが進み、後半になって認識の食い違いが発覚して、変更や追加改修などの手戻りで工数が増え、費用増や納期遅れが発生してきていた。それを、作業の見える化と顧客との合意形成を明確にすることでスムーズな構築を目的としている。
構築プロセスとして、準備フェーズの引合、企画構想、設計フェーズの仕様定義、基本設計、詳細設計、製造フェーズの製造、出荷前テスト、テストフェーズの総合テスト、ユーザーテストと進み、それぞれの工程で、顧客、SIが作るべきドキュメントを規定している。例えば、企画構想ではマスタスケジュールと見積仕様書、仕様定義ではプロジェクト計画書やテスト計画書、スケジュール(中日程)、納入仕様書、総合テストでは総合テスト報告書、ユーザーテストでは顧客がユーザーテスト報告書やリスクアセスメントシートなどを作る必要があるとしている。