6月28日付でサンワテクノスの新社長に就任した田中裕之氏は、「山田益二郎前会長、山本勢前社長が築いてくれた電機・電子・機械の融合化や、営業のデータベースの仕組みを引き継ぎ、それに魂を入れていきたい」と就任の抱負を語る。
田中新社長は、同社の大きな拠点である名古屋支店長や、全社売り上げの約70%を占める電子部門長などを歴任するなど、早くから山本前社長と一体となって歩み、同社の飛躍を支えてきた。
しかしこのところ、商社の取り巻く環境が技術力やエンジニアリング力など、システム対応の力が求められる傾向が強まっており、部品販売からソリューション提案力による差別化が求められている。
「山本前社長は今後会長として、エンジニアリングに重点を置いた事業への横串を刺す役割を担ってくれるので、機電一体となった点から面への展開がより一層強化でき、ソリューション力はさらに上がる」と強調する。
同社は現在、2019年3月期まで3年間の第9次中期経営計画「チャレンジ1500」を推進しており、今年度はその2年目。創業70周年の19年度には売上高1500億円、さらには25年度には2500億円の売り上げ達成を目指している。
「25年度には海外売上比率を現在の約30%から40%まで高めたい。ものづくりの形態が変わりつつある中で、グローバル市場ではユーザーの購買代行的な機能を商社に求めている部分も見られる。当社では『グローバルSCM(サプライチェーン)ソリューション事業』と名づけているが、こうした役割での貢献も期待できる。国内ではロボットの果たす役割が高まってくることから、SI(システムインテグレータ)と連携した取り組みが一層重要になる。これからはデバイスだけで販売を伸ばすのは大変難しく、SIと一体となったシステム提案を強めていきたい」。
山本会長は『サンワカレッジ』を作って体系的な人材教育を進め、会社を働く人のユートピアにしたいと考えている。田中社長も「サンワテクノスを、社員の夢が開く会社にしていきたい。仕事の評価だけでなく、人生につながるような場にしていければ」と意気込む。
山本会長、田中社長としての新しい歩みがスタートした。どのような新風が吹くか楽しみである。