感震ブレーカー 防災のため標準的機器として普及拡大 地震時の電気火災を防止

地震の際、揺れとともに被害拡大に甚大な影響を与えるのが「火災」だ。電気を原因とする電気火災は出火原因の多くを占めるといわれ、近年その被害を防ぐために「感震ブレーカー」の普及が急速に進んでいる。配電盤の機能として組み込んだ新製品や、後付け式など、多くの製品が発売されている。

内閣府によると、東日本大震災の本震で発生した火災111件で原因が特定されたもののうち、半数を超える65%が電気関係からの出火だった。電気関係からの出火は、1次配線における変圧器への過負荷による加熱による出火のほか、2次配線の分電盤を介してからの配線コードの損傷による出火や、電気ストーブやヒーターの転倒、白熱灯が落下して可燃物に接触したことによる出火などに可能性があるとされている。そのため分電盤で電気を遮断することができれば、家庭内からの出火を防ぐ予防策となる。

これに対し感震ブレーカーは、設定値以上の揺れを感知したらブレーカーやコンセントなどの電気を自動的に遮断し、電気火災を防止する装置で、不在時や緊急避難をしなければならない際に有効とされる。住宅が密集し、延焼したり、避難が難しく危険性が高い「地震時等に著しく危険な密集市街地」では緊急的・重点的な普及促進が必要とされている。電気設備の保安に関する民間規格である「内線規程」でも、これらの地域の住宅では設置が勧告的事項に、それ以外の地域でも推奨的事項となり、住宅における防災設備の標準的な機器となりつつある。

感震ブレーカーには、感震ブレーカーを分電盤内に搭載した「分電盤タイプ」、既存の分電盤に外付けして感震ブレーカー機能を付与する「後付けタイプ」、揺れを感知してコンセントで電気を遮断する「コンセントタイプ」、オモリの落下やバネの力でブレーカーを落とす「簡易タイプ」などいくつかのタイプがある。

2015年2月に内閣府の大規模地震時の電気火災の発生抑制に関する検討会によって『感震ブレーカー等の性能評価ガイドライン』がまとめられた。これにともない感震ブレーカーの性能評価を行う第3者認証制度として、日本配線システム工業会の「感震機能付住宅用分電盤認定制度(分電盤タイプ)」があり、適合機種は、現在4社13機種となっている(表1)。また日本消防設備安全センターの「消防防災製品等推奨制度(コンセントタイプ、簡易タイプ)」では、寺田電機製作所、生方製作所、エヌ・アイ・ピー、リンテック21の簡易タイプ感震ブレーカー、第一通商の出火防止コンセントが推奨製品として登録されている。

また日東工業は、感震リレーとブレーカーが一体化した「感震機能付ブレーカー」を開発。家庭用ホーム分電盤、産業用分電盤に取り付け可能で、住宅以外の工場、飲食店などにも使用範囲が広がるとしている。

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