日本政策投資銀行がまとめた「2016・17・18年度 設備投資計画調査」によると、17年度の国内設備投資は製造業がけん引役となり、16年度から11.2%のアップ。6年連続で増加になる見通し。労働力不足に対応するための生産効率化や20年の東京オリンピック・パラリンピックに向けたインバウンド対応の投資が広がっている。
17年度 業界別の設備投資動向
製造業は14.2%増と拡大傾向。食品は乳製品や畜産加工品など加工品の能力増強、化学は自動車や電子・電池向けの部材・素材が増加し、研究開発投資も増加傾向にある。石油は既存プラントの維持補修や流通設備への投資が盛ん。鉄鋼は炉の改修や自動車向けに特殊鋼の設備新設が見込まれている。非鉄金属は自動車や電子機器向けの能力増強、一般機械では自動車や産業用ロボット、航空機などの能力増強と、生産効率化への取り組みが見られる。
電気機械では、自動車の電装化や産業用ロボット向けの生産設備の増強が期待できるが、大規模な工場建設が終了して全体では減少。精密機械は医療用機器の能力増強投資や研究開発投資が増加。自動車は、主力工場への最新設備の導入や国内生産体制の再構築、新世代技術を使ったモデルチェンジ対応などで増加傾向となっている。
非製造業では9.5%増で、卸売・小売はコンビニの省力化投資があり、不動産は都心部の大型開発案件の投資を中心に増加している。運輸では、鉄道の高速化工事や不動産開発、空港施設の拡充などで2ケタ増。通信・情報関連では、情報サービスや放送の増加、移動通信ネットワーク増強などがある。
投資動機が変化。維持・補修を重視
投資の動機は、「新製品・製品高度化」の割合は昨年度から減少し、「維持・補修」のウエイトが上昇。製造業全体では「維持・補修」が上昇して過去最高となり、特に加工・組立型製造業で「合理化・省力化」、「維持・補修」をあげる割合が増加した。
研究開発費、情報化投資、海外への設備投資状況
17年度の研究開発費は全産業で6.0%増。輸送用機械で環境・安全技術や運転支援、自動運転機能などの先端技術開発で7.2%増。電気機械はIoTやロボティクス、ARなど自動運転支援技術の活用を軸とした新技術開発で4.0%増、化学では、自動車や航空宇宙用との新素材開発、医薬品での創薬や再生医療などで2.9%増、一般機械は、航空宇宙分野や医療、データ利活用などで7.8%増となる見込み。
情報化投資は、全体で27.6%増。製造業ではシステム刷新や自動運転関連の投資が進む輸送機械や精密機械、一般機械など全業種が増加して34.7%の大幅増。非製造業でも、小売業における店舗運営システム、運輸やガスでの物流システム効率化などが増加し、20.2%増となる
海外への設備投資は、16年度は14.9%減だったが、17年度は14.3%と増加傾向に転換。製造業は、自動車や電気機械、一般機械、化学や精密機械など軒並み増加。非製造業でも不動産や鉱業が増加する見通し。
同調査は、1956年にはじまり、資本金10億円以上の民間法人企業を対象として国内外の設備投資状況をアンケートで調査したもの。17年度は、国内の設備投資状況に2033社、海外設備投資に947社の回答があった。