アプリケーション中心のアプローチにおいて、ネットワーク管理者は従来の運用モデルのようにサーバやルータを管理するのではなく、特定のアプリケーションのためにシステムを管理します。このアプローチでは、アプリケーションのユーザーエクスペリエンスが成功の判断基準になります。アプリケーション中心のモデルに転換することで得られるメリットは大きく分けて3つあります。
1.圧倒的なシンプルさと使いやすさ
有線と無線が統合されたシンプルなクラウド管理ネットワークプラットフォームを活用することで、IT部門は日々の運用管理に膨大な時間と資金を投入することを回避できます。アプリ中心の戦略を取ることで、展開されている環境やプラットフォームにかかわらず、自信を持って必要となる重要なサービスを提供できるようになります。このモデルでは、レガシー環境とソフトウェア定義のアーキテクチャ間の相互運用が可能です。そのため、企業は顧客が求めるアプリケーションの可用性やパフォーマンスを提供することに注力できます。
2.よりよいセキュリティ
セキュリティの脅威が次々と現れ、アプリケーションの悪用がますます高度になる環境では、もはやコンプライアンス対策だけでは不十分です。企業は、特定アプリケーションのリスクや脅威に焦点をあてる「アプリ中心の戦略」を採用することで、セキュリティ方針を強化することができます。
ワイヤレスAPに直接組み込まれた学習機能と可視性を活用することで、パフォーマンスへの影響やアプリケーションのスローダウンなしに、顧客のネットワークに対する前例のない知見やアプリケーション特有のポリシーを定義したり、実施したりする能力を提供できます。
重要なのは、セキュリティはアプリケーションとデータにフォーカスするだけでなく、ユーザーエクスペリエンスを阻害することがないような包括的なものでもあることです。また同時にユーザーやデバイス、アプリケーション独自のポリシーの組み合わせで組織を活性化させ、エンドツーエンドで安全にコントロールされたエクスペリエンスの質を提供するものでなければなりません。
3.ビジネスのアジリティ
ITでの目標を達成するには、クラウドに最適化したソリューションと柔軟性のあるライセンスオプション、ビルトインサポートを提供してくれるベンダーを選ぶことが不可欠です。また、ネットワークのアジリティは、ネットワーク全体でのアプリケーションフローのステップ毎にしっかりしたアプリケーション監視ができるかどうかにかかっています。
ネットワークにおけるパフォーマンスのボトルネックを認識できず、IT部門が迅速に最適化できなければ、ユーザーエクスペリエンスが犠牲になってしまいます。だからこそ、全体的なネットワークアプリケーションパフォーマンスを監視するソリューションが、IT部門を支援してそのコントロールを提供できるようにする必要があります。
また、それぞれのアプリケーションが顧客のニーズや優先順位の変化に応じて、許可/拒否、優先順位付けとその解除、絞りこみなどを効率的に管理可能になることも重要です。その結果として、IT部門がネットワークそのものを管理しなくてもアプリケーションを管理できるようにしたり、APで分析したりするソリューションを使うことで、より強固なエクスペリエンスの質を確保できます。
個々にカスタマイズされたソリューションを求める顧客に対し、IT部門にさらなる課題を課すことなくクラウドに移行するために効果的な戦略を示しているベンダーはほんの一握りです。2017年は、ライバルに差をつけるためにアジリティを高め、独自のテクノロジーを提供しようとするユーザーの力になることが求められます。そのため、ITベンダーにはさらにプレッシャーがかかることになるでしょう。
(事業開発責任者 カイル・ブラウン)