製造ライン 単純作業が顕著
経済産業省と日本ロボット工業会は、2017年度のロボット導入実証事業についての補助金採択先55件を決定した。このうち主に中小企業、三品産業とサービス業を対象とした未活用領域への導入を支援するA類型は25案件が採択された。特に食品・医薬品・化粧品の三品産業が高い関心を寄せている。
A類型での採用が多かったのが、三品産業の製造ラインにおける単純作業での用途。ここは地方の中小企業が多く、労働集約型で自動化が進んでいない上に、人手不足による影響が深刻化している。
具体的な作業としては、弁当・総菜パックのフタを閉める作業、ハムソーセージを包装機械に投入する作業、洋菓子の成形型へのクッキングシートの供給、即席麺用チャーシュー供給、真空冷凍パックの箱詰め、少量多品種の化粧品のビニール袋詰め、製品の整列作業など。単純な作業がほとんどで、一部に協働ロボットの利用案件があるが、垂直多関節ロボットやパラレルリンクロボットなど従来型のロボットを使って大胆に変える案件が目立つ。
また工場内や物流倉庫内のピッキングや重量物の上げ下ろし作業の効率化の案件も散見。レトルト製品のパレット積みなど。ANAエアポートサービスの案件は、重量と大きさ、形状さまざまな手荷物を機内に搭載するコンテナへの積み込み工程に対してロボットを利用するとしている。
革新的な考え方で、その実現可能性を調査するFS(フィジビリティスタディ)案件も4件採択。ロボットとAIによるトマトの熟度選別システム、自動荷役システム、屋根の塗装作業、鉄のスクラップ解体作業に対するロボット化となっている。
このほか、より効率的で安価にロボットを導入できる手法の確立を目指すB類型は22案件。2020年に向けて空港や駅、ホテル、商業施設、飲食店など公共空間でのロボット実証をするC類型は8件が採択された。