北陽電機(大阪市中央区)は、モータと共振ミラーを用いて3次元計測が可能な測域センサ「YVT-35LX」を10月から発売する。標準価格は60万円。
新製品は、3次元計測により、立体的に形状認識したいというニーズに応えたもので、水平方向210度、垂直方向40度の広範囲に光をスキャニングし、独自の光学技術により、レーザセーフティ クラス1の条件で、前方方向35メートル、横方向14メートルの長距離認識性能を有している。測距原理にはパルス光によるTOF方式を採用。
1周期の点群データ出力は2590点と豊富なうえ、レーザ光の照射位置を周期ごとにずらし、点群数を増やして解像度を上げるインタレースモード機能により、最大で水平方向20倍、垂直方向10倍まで密度を上げることができる。
また、単一方向のレーザ光で複数の距離データを取得するマルチエコーと呼ばれる独自機能により、雨や霧などの悪環境下においても対象物までの測距データを取得することが可能。さらに、レーザ光を自発光し、反射によって測距しているため、暗闇環境でも精度良く検出が可能で、屋内外を問わず使用できる。
加えて、IMU(ジャイロ)センサ搭載により、角速度、加速度の検出時の時間補正が不要。ロボットや無人搬送車が坂を走行する際、傾き(姿勢)や加速度がわかるため、状況に応じた制御が可能となる。
そのほか、GPSと併用する場合、PPS信号によりセンサのタイムスタンプをリセットし、累積誤差を解消。保護構造IP67、耐周囲照度10万lx、耐衝撃10Gとさまざまな環境下での使用用途に適している。
主な利用分野として、自律走行ロボットや産業用無人搬送台車の走行支援、建築・土木現場での施工管理や切削量、盛り土の形状認識、インタラクティブコンテンツへの利用などが考えられるが、類似技術であるカメラやミリ波レーダに比べて距離測定精度が良く、悪環境下でも使用できることから、同社ではさらなる用途拡大を見込んでいる。
11月29日から東京ビッグサイトで開催の国際ロボット展とシステムコントロールフェアに展示する。