ロジテックINAソリューションズ(長野県伊那市)は、エレコムグループで産業用コンピュータなどの端末を開発・製造するコンピュータメーカー。国内の大手コンピュータメーカーの事業縮小が相次ぐなかで、日本生産・日本品質にこだわり、国内企業のニーズの受け皿として存在感を発揮している。
同社はもともとゲーム機などの製造を行っていたが、1980年代後半に顧客からコンピュータが作れないかという要望を受け、産業用コンピュータ市場に参入。年間100~200台程度の自働機の制御コンピュータなど、大手メーカーが手がけない小ロットやカスタマイズをフィールドとし、FA系の制御端末を中心に売り上げを伸ばしてきた。売り上げの6割以上をFA向け事業が占める。
エレコムグループに加わったのは2004年。ユーザのニーズが多様化するなか、エレコム、ロジテックINAソリューションズ、ハギワラソリューションズ、日本データシステムなど各領域で強みを持つメーカーが連携し、その総合力が追い風になっている。多くのユーザの声が集まるようになり、同社のカスタマイズ力と対応力が有効に働いている。
例えば、屋外でも使える頑丈なタブレット端末。大手メーカーの製品も出ているが、価格が高く、機能や使い勝手などに不満があるというユーザは多い。同社はそこに向けたオリジナル製品を開発し、各社仕様にカスタマイズできることで高い評価を受けている。大手製造メーカーをはじめ、医療機関や電力会社、消防などに提案、採用されている。
「ソフトウエアを各ユーザ向けに提供するためにハードウエアに民生品を使うITベンダーも多い。民生品は丁寧に使っても数年で壊れる。持ち運びも思った以上にパソコンにダメージを与える。当社は産業向けに設計したハードウエアを提供し、大変喜ばれている。今後はソフトウエアも提供できるようになっていく」(ビジネスソリューション部 山田真也部長)。
また意外なヒット商品となっているのが、バッテリーを内蔵しないタブレット端末。メンテナンスがラクと評判だ。
「電源がある場所、固定して使う用途であれば、電源から電力を取るほうが効率的だ。これらは新しい声を聞いて2、3年取り組んできた製品。受け入れられてきてうれしい」(山田部長)。
産業用と民生用では求められるスペックや要素が異なる。製品の信頼性はもちろん、長期供給やサービス体制も大切で、カスタムの要望も多い。その面では同社を含むエレコムグループの総合力は大きな強みを持つ。
「当社は国内のコンピュータメーカーとしてはまだ知名度が低い。もっと知ってもらい、良い品質のものを適切な価格で提供していく。これまでは大手企業ができない分野を担ってきたが、今後は当社が大手メーカーの受け皿としての役割を果たせるようになっていきたい」と話している。