パナソニックは、同社が開発した高速PLC技術「HD-PLC」の利用範囲拡大に向け、実証実験を開始する。
この実証実験は、工場や大規模施設を対象にモータ系の動力用三相電力線や、LED照明に使用される基幹の三相電力線などを通信用として利用するためのもので、既存の電力線を利用することにより、新たな通信線の配線が不要となり、無線の不感場所にも活用できる。
また、高速PLCの国際規格であるIEEE 1901に、マルチホップ技術 ITU-TG.9905を対応させること(「HD-PLC」マルチホップ)で、接続端末が1000台規模のシステムを実現。複数の端末間をホップさせ、電力線を使った数キロ程度の長距離通信が可能となり、大規模施設などでのネットワーク化に対応できるようになっている。
「HD-PLC」マルチホップを活用することで、例えば、工場や大規模商業施設では、頻繁に発生するレイアウト変更にも柔軟に対応でき、無線通信に比べセキュリティ強度の高いネットワークを安価に構築することが可能になるほか、調光制御のために電力線に加えて多くの制御用通信線の配線が必要になる場合がある国際規模のスポーツ大会やイベントなどで使用する照明設備は、制御用通信線が不要となり、施工の簡素化と導入コストの削減が期待できる。
同社では、すでに福岡事業場で屋外での「HD-PLC」マルチホップの利用に向けたさまざまな実験を行っており、今回は新たに、佐賀工場を実証工場として、10月からHD-PLCを三相電力線で利用した実証を開始する。こうした取り組みを通じ、技術的な課題抽出やIoTアプリケーションなどの実用化に向けた検証を進めていく。