IoT導入の参考に 4つの領域ツール96件、レシピ28件
ロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)は、中堅・中小製造業の導入に適したIoTツールについて、このほど「スマートものづくり応援ツール・レシピ」として公開した。単体のツールと、それらを組み合わせたレシピを公開してIoTシステムの構成を具体化することで、検討や導入の参考とすることができる。
今回公開されたのは、ツール96件とレシピ28件。大きく「現場カイゼン」「業務プロセス改善」「製造プロセス最適化」「その他」の4つの対象領域に分かれ、具体的なユースケースに落とし込まれている。
例えば、「現場カイゼン」領域の「作業員のポカよけ」には、ヘルツ電子の「ポカヨケツール」やリコーインダストリアルソリューションズの「作業支援カメラシステム」、三菱電機の「iQ Monozukuriねじ締め作業支援」など28個のツールが振り分けられている。
レシピでは、音声入力で検査結果を記録し分析までしてくれるレシピ(東洋ビジネスエンジニアリング)や、画像処理用LED照明の明るさを管理して検査精度を高く維持するレシピ(オプテックス・エフエー)、など7種類のレシピが入っている。
このほかダウンタイムの削減や設備・人の稼働率向上、トレーサビリティの確保、多様な人材の活用など4領域で20種類のユースケースが設定されており、それぞれに対応したツールとレシピが割り当てられている。
こうした中堅・中小製造業向けIoTツールとレシピが揃いはじめたことに対して、選定に関わった審査員は、「地方発の知名度が必ずしも高くないツールへの注目も大きな驚きだった。この1年、コスト面で中小企業目線に沿った提案がかなり増えたように思う。大企業からの中小企業の課題に沿った、使い勝手の良さそうな提案が数多くあったことが非常に頼もしく感じた」(法政大学大学院 松島桂樹審査委員長)、「IoTが身近に感じられ、試しに導入してみようという気になるツールが増えてきたように感じた」(錦正工業永森委員)、「われわれ中小製造業者が、有効性を実感しながら積極的に導入のトライができるような環境整備が望まれる」(今野製作所 今野委員)、「応募書類での説明が足りておらず残念に感じることもあった。端的な表現で、より具体的な説明があればもっと積極的に使ってみようと感じる」(浜野製作所 浜野委員)、「IoTのツールやレシピを公明正大な場で一堂に会する意義は極めて大きいと感じた。次は、これらのツールやレシピがどのように中小製造業に対し、伝えることができるか、使ってもらって効果を発揮してもらえるかが重要な課題だ」(小島プレス工業 兼子委員)などとしている。