オムロンは、自動車および自動車部品工場における設備の稼働率向上に貢献するため、世界最長の検出距離を実現した次世代近接センサ「E2E-NEXT」と取り付け治具「e-治具」を10月2日に発売した。価格は長距離タイプが7700円~、スパッタ対策・長距離タイプが1万1900円~。
同社が行った調査によると、エンジン部品の製造現場では突発的な設備停止が年間約1600時間発生しており、そのうちの15%にあたる約240時間が、近接センサと検出物体との衝突や誤動作によるもの。近接センサの検出距離を長距離化することで、設備の経年劣化による摩耗や振動で発生する衝突や誤動作を削減することは可能だが、既存の技術では周囲の温度変化の影響によって検出の安定性が損なわれるため、長距離検出は困難だった。
同社では、高精度の温度補正を可能にする「サーモ・ディスタンス・コントロール技術」と、2線式近接センサでは業界初となる「アナログデジタルハイブリッドIC」を独自開発し、「E2E-NEXT」に搭載することで、温度変化による影響を最小限に抑え、安定した長距離検出を実現。従来品と比較して約2倍の検出距離を実現したことで、検出物体との衝突故障や誤動作により設備が停止する回数を従来の3分の1に削減する。
また、「e-治具」は、故障時の近接センサの交換にかかる時間を従来の約10分から10秒に大幅短縮することで、故障箇所の確認から、装置の一部解体、センサの交換、配線、動作確認といった一連の作業により平均で約60分かかっていた設備停止後の復旧時間を約50分に短縮する。
「E2E-NEXT」とセンサヘッドを交換する際に取り付け位置をワンタッチで固定できる「e-治具」を導入することで、突発的な設備停止の時間のうち約10%にあたる約173時間を削減することができる。