アジア中心、中国リード
国際ロボット連盟(IFR)によると、世界の工場で稼働するロボットの台数は、2020年までに300万台に達し、170万台もの新たな需要が見込まれると発表した。その中心はアジア、特に中国が牽引し、日本はロボット製造国として生産能力を増強しているとした。
産業用ロボットは、柔軟な生産を実現し、新しいビジネスサイクルに対応するための不可欠な自動化装置として世界中で需要が拡大している。IFRのジョー・ジェマ会長は「ロボットは高精度を提供し、その接続性は新しいデジタル製造環境で重要な役割を果たす。可用性の向上により、あらゆる規模の企業のメーカーがますます自動化される」としている。
20年までの需要傾向は、産業用ロボットの世界の稼働は16年末で188万2000台あり、これが20年までに305万3000台まで増加。年間平均で14%の成長と推定している。地域別ではアジアが需要の中心となり、20年には約190万台のロボットが稼働し、そのうち95万台は中国が占めると見込んでいる。
世界トップ5の市場動向
16年の世界販売台数のうち、中国と韓国、日本、アメリカ、ドイツの5カ国で74%を占めた。
中国は16年に世界販売台数の3分の1となる8万7000台を販売。これはヨーロッパとアメリカの合計販売台数とほぼ同じ規模。ファナック、安川電機、ABB、KUKAの世界4大ロボットメーカーのシェアが圧倒的で、これらを中心とした日本やドイツなど海外メーカーのロボットが約7割を占めている。これに対して中国政府は国内メーカーの育成と保護を図っており、16年には中国メーカー製品はシェアを30%まで伸ばしてきている。
韓国は世界で2番目の規模を持つ市場。特に電気・電子産業によるロボットへの大規模な投資により、年間売上高が大幅に増加し、16年は前年の8%増となる約4万1400台が販売された。韓国は世界で最も高いロボット密度を持ち、製造業従事者1万人に対して630台のロボットが導入されている。特にディスプレイ産業と半導体メモリ製造を中心に導入が進んでいる。
日本は15年の10%増となる3万8600台で、過去最高を更新。日本は世界的なロボットメーカーが数多くあるロボット製造大国。世界的な需要増に対して生産能力も拡充し、16年には10年の7万3900台から倍増となる15万2600台を製造できる。これは16年世界供給の52%を占める。
アメリカは、前年の14%増の3万1400台を導入。産業競争力の強化のために自動化が進み、さらに海外から工場を呼び戻すための大規模投資によってロボット導入が盛んになった。アメリカで使われるロボットのほとんどは日本や韓国、ヨーロッパからの輸入となっている。
ドイツは世界第5位のロボット市場であり、欧州では最大の市場。16年の販売台数は前年並みの2万39台。しかしながらヨーロッパではトップで、域内の4割近くをドイツが占めている。