150社・900小間増 会場も6ホールに
2017国際ロボット展(iREX)が、11月29日から12月2日までの4日間、東京ビッグサイトで開催される。ロボット産業は世界的にも関心が高く、日本でも官民挙げて振興に力が入っている。同展は2年に1度の世界規模のロボット見本市、最先端の技術とアプリケーションが揃い、今秋必見の展示会だ。
同展は2年に1度の開催で、今年で22回目を迎える。テーマは「ロボット革命がはじまった そして人に優しい社会へ」として行われる。今回は612社・団体による2775小間となり、出展者・コマ数ともに過去最大。前回の446社・団体の1882小間から150社・団体、900小間ほど増え、展示会場も東京ビッグサイト東1~6ホールと広がった。
ゾーン別では、産業用ロボットゾーンが2012小間、前回から648小間増加。産業用ロボットは、自動車や電子部品業界での利用に加え、食品や医薬品などへの導入が拡大しており、小型化と機能を特化したロボットや、人との協働ロボットが次々と開発されている。今回は多くのメーカーが実際の利用シーンを意識したアプリケーション展示が多く、パートナー企業やSIとの合同展示も数多く予定されている。
サービスロボットゾーンは533小間で、前回から111小間増加。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)ブースを中心とした最新ロボットの実演のほか、農林水産省ブースでは農業ロボットの展示を実施。そのほか都産技研が開発した自立移動と認識、多言語対応のコミュニケーション機能を搭載した自立移動案内ロボットなど幅広い分野のロボットを展示する。またドローンの実演なども行われる。
また会期中は国際色豊かなシンポジウムとフォーラムを多数開催。「iREXロボットフォーラム2017」は、29日15時から会議棟7階の1000人収容の国際会議場で、「働く現場を変える!ロボットとともに」と題して行われる。川崎重工業、ファナック、不二越、安川電機、ABB、KUKAの大手ロボットメーカー6社と、トヨタ自動車、ホームロジスティクス(ニトリグループ)というユーザー会社のトップを交えたパネルディスカッションを予定している。
このほかNEDOロボット・AIフォーラム2017、RRI国際シンポジウムなども行われる。
併催企画では、2017国際ロボット展テーマ展示として、人とロボットの共存による新しい社会を実感できる展示と実演を東5ホールで行う。近未来のショッピングモールや家庭のシーンを表現した展示となる予定。
東6ホールのRT交流プラザでは、46の大学と機関が研究開発中のロボットを紹介。同じ6ホールでは「第7回ロボット大賞」の受賞ロボットを展示する合同展示も行われる。
また12月2日には東8ホールでロボット体験企画を実施。ロボット工作教室やプログラミング教室など子供から大人まで楽しめる企画も予定されている。
NEDOロボット・AIフォーラム ロボットとAIがもたらす未来社会を展望
NEDOは会期中に「NEDOロボット・AIフォーラム」を開催する。テーマを「Robots&AI for Happiness」とし、産学官の第一人者が最新動向についての講演と、会場で最先端ロボットを展示する。
講演は29日10時半~17時まで、東6ホールのメインステージにおいて定員500人で行われる。
登壇者は、宇宙飛行士の山崎直子氏をはじめ、空飛ぶクルマを開発しているCARTIVATOR代表の中村翼氏、日本マイクロソフト執行役員 最高技術責任者の榊原彰氏、福田・近藤法律事務所の弁護士である近藤惠嗣氏など。ここでしか聞けない豪華なメンバーが揃っている。
展示ブースではロボット12点を展示する。ものづくり分野ではN軸ロボットアーム、サービス分野ではパワーアシストスーツ、ロボット車椅子、プラットフォームロボット、インフラ維持・災害対応分野では橋梁近接目視点検ロボット、水中点検フロートロボット、消防防災の救助活動を行う耐火性ドローン、インフラ点検・検査用ドローン、飛行経路再計画・衝突回避機能搭載ドローン、ジュニア向けはVRを利用したロボット知能研究教材、AIでは洗濯物折りたたみロボットとAI搭載セキュリティロボットを展示する。
東京都立産業技術研究センター 中小企業と共創のサービスロボット展示
東京都立産業技術研究センターは、自立移動案内ロボット「Libra」をはじめ、同センターと中小企業が共同開発したロボットの展示・デモを行う。
Libraは、同センターが移動ロボット用プラットフォームとして開発した「T型ロボットベース」に、知能アプリを組み込んだ自立移動案内ロボット。頭部にマイクとスピーカーを内蔵し、タッチディスプレイで会話やタッチ操作による操作が可能となっている。3Dカメラや魚眼カメラ、レンジセンサを搭載し、人を感知して先導案内を行うことができる。
また同センターでは中小企業が開発したロボットを21機種展示する。
第3回ロボット革命イニシアティブ協議会国際シンポジウム 中国製造2025のキーマンらと製造業の未来を語る
11月30日10時~17時まで、会議棟7階国際会議場では、ロボット革命イニシアティブ協議会による「RRI国際シンポジウム」が行われる。
ドイツのインダストリー4.0をはじめとする各国のIoT推進団体からキーマンを招き、「製造業のこれからの姿」「国際標準戦略」「産業セキュリティ」の3つのテーマを議論する。
予定されている登壇者は世界経済フォーラム、ドイツの国際標準と産業セキュリティ、ARENA2036担当、インダストリアルインターネットコンソーシアム、中国製造2025、チェコ、スウェーデンから役人や技術者など。日本からも経産大臣も参加する予定。
前回の国際ロボット展 協働ロボット元年で注目
前回は2015年12月2日から行われ、会期中に12万1000人が来場した。当時はインダストリー4.0、IoTという言葉が使われはじめ、政府によるロボット革命もスタートした年で、新しい時代の追い風を受け大いに盛り上がった。
ロボット技術では、安全柵がいらず、人と並んで作業ができる協働ロボットが発表された元年で、KUKA、ABB、ユニバーサルロボットといった海外メーカーが、産業用ロボットの新しいコンセプトとして会場に持ち込み人気を集めた。日本メーカーでも、ファナックが緑のロボットを展示し、多くの注目を集めた。
この時期はまだロボット本体に注目が集まっていた段階で、垂直多関節ロボットの動きや機能などに見入る人が多かった。それから2年たった今回は、ハンドやビジョンといったツールを取り付けて実際の使用例を模したアプリケーション展示を模索する企業が多く、来場者に具体的な導入イメージを保たせたいという思惑がある。特に、これまでロボット普及の中心だった自動車や電子機器以外の分野、三品産業や倉庫内作業、物流向けや、中小企業などに向けたデモなどに力を入れたいという企業が多い。