日立製作所は、IoTを活用し、多種多様な情報をつなぎ、工場全体の最適な生産計画を自動で立案する「工場シミュレーター」と、3D CADデータをもとに3D作業手順書を自動生成する「組立ナビゲーションシステム」を11月から提供開始する。茨城県日立市の大みか事業所でIoTを活用した高効率生産モデルを昨年10月に確立し、代表製品の生産リードタイムを約50%短縮に成功。今回はそれを活用・汎用化し、工場シミュレーターと組立ナビゲーションシステムとして製品化した。
工場シミュレーターは、工場内の各工程の生産進捗情報と、お客の納期や受注量に関する情報を収集し、それらと他の製品の生産計画、各工程の生産能力、負荷などの情報をもとに、原単位を用いた独自のシミュレーションを実行し、各工程の作業負荷を平準化した生産計画の自動立案が可能。また、顧客納期や受注量などの変更と計画遅延、計画超過などの生産進捗状況に追従した生産計画を再立案し、工場内の仕掛かりを最小化した最適な調達計画の自動立案もできる。
一般的な生産スケジューラーではBOMを作成してスケジュール管理を行う必要があるが、工場シミュレーターではBOMの代わりに類似製品をカテゴリーごとに分類し、使用部品の定義が不要な原単位を用いることで簡易的で正確な生産計画の自動立案を行うことが可能となっている。
組立ナビゲーションシステムは、完成品の3D CADデータから設計・構造情報を取り込み、独自のアルゴリズムにより分解順序と分解動作の分析を行い、適正な組み立て順番での3D作業手順書を自動生成して現場に提供する。現場作業者は「1作業1画面」で作業を行うことができ、製作図面から組み立ての順番を読み解く手間を省くとともに、現場作業者間の作業・品質のバラつきを低減できる。