日本製造業のIoT・データ利活用の実情 収集から活用のステージに突入

機械の稼働率を知る、製造装置の状態を把握する、良品/不良品を管理する、故障時期を予測するなど、さらなる現場効率化にはIoT導入が欠かせない。IoTの導入ステップ、実行サイクルは、①データを集め ②見える化し ③分析し ④活用する の4段階。それぞれに応じた機器・システムを導入し、運用していくことが「IoT化」といわれるものだ。日本ではIoT化が進んでいないといわれるが、実際はどうなのか?

■データ収集をしている企業は40%から60%へ増加

経済産業省の「2017年度ものづくり白書」によると、製造現場で生産プロセスに関する設備の稼働データを収集している企業は、2015年には40%だったものが、2016年には66%まで上昇。1年間で26%も増加し、工場内でのデータ収集に取り組む企業が確実に増えている。

業種別では、自動化と中央制御によって人の介在余地が少ないシステムである非鉄や金属、鉄鋼、化学産業などプロセス産業では先行して進んでおり、昨年のデータでは40%を超えていた。人手作業の多い組み立て製造業の機械や電子機器は30%台だった。しかし2016年のデータでは軒並み増加し、一般機械を除くすべての産業で60%を超え、化学、非鉄では75%超となった。IoTの最初のステップとなるデータ収集は、ほとんどの企業でクリアしていることが分かった。

■データ活用している企業はまだ20%。関心は高まる

IoTを有効利用するためには、集めたデータを実際に活用することが不可欠だが、日本の製造業の多くはそこまで手がつけられていない様子。

実際に収集したデータをどう活用しているかという質問では、すでに「(データ活用を)実施している」と回答した割合はいずれも20%以下。例えば、「(集めたデータを使って)機械の稼働状況を見える化してプロセス改善に取り組んでいる」という企業は15.5%、同様のことをラインや生産工程全般まで広げている企業は13.9%、人員の稼働まで踏み込んでいる企業は9.1%に止まっている。

しかしながら、活用への関心が高まっているのは事実。「(データ活用について)可能であれば実施したい」という回答が30%程度集まり、2015年の調査時の15%前後に比べて大幅に増加している。

■経営層がもっとデータ活用して新しい収益の柱を作れ

どこでデータを集め、それを誰が活用しているのか?という質問では、製造部門が44%とトップで、経営者・経営戦略部門は29%。情報システム部門は7%だった。

これについてものづくり白書は「機械や装置の稼働データを収集して品質管理や予知保全、設備や人員配置の最適化など、製造や生産の現場改善にスポットがあたることが多く、それに偏っている」と指摘。世界では経営層がデータを有効活用しており、ビジネスモデルの変革や価値の創造など、よりダイナミックな経営革新に取り組んでおり、日本ではそこの視点が不足していることに警鐘を鳴らしている。

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