組込みからエッジコンピューティングまで、IoTをさらに加速するソリューションの最新トレンドを発信する組込み総合技術展「Embedded Technology 2017」、およびIoT総合技術展「IoT Technology 2017」(主催=組込みシステム技術協会)が、11月15日~17日の3日間、パシフィコ横浜で開催される。開場時間は午前10時~午後5時(16日は午後6時まで)、入場料1000円(無料招待状持参者、Webでの来場事前登録者は無料)。会期中は408社・団体(806小間)の出展、2万7000人の来場が見込まれる。
重要テーマ特設ゾーンで展示
製造業IoT、物流IoTなど具体的なソリューションが登場し始めたIoTは、同時に、レイテンシ(通信遅延)、通信量やコストの肥大化、セキュリティの脅威といった、急務に解決すべき課題が浮上しており、その対応策として、エッジ側によるデータの生成・制御を分散化することで解消するエッジコンピューティングが注目されている。
同展示会では、そうしたIoTの進化において重要度がますます高まるエッジデバイスの高性能化・高機能化に向け、「インダストリー4.0/FA」「次世代モビリティ/コネクテッドカー」「データ流通/センシング」「AI(人工知能)」といった注目分野を見据え、最新のエッジテクノロジーを軸に包括的なソリューションを集中発信。その中心として、「組込みAI活用」「スマートセンシング」「IoT無線技術」「セキュリティ&セーフティ」を重要テーマに掲げ、特設ゾーン展示とカンファレンスに新設した専門トラックで最新技術トレンドの最先端を紹介する。
「組込みAI活用」ゾーンでは、IoT時代のキーとなるAI技術にフォーカスし、Embedded/IoTデバイス側でのAIを活用した、リアルタイム性、省電力、エッジコンピューティングなどの技術・サービスを展示。専門トラックでは、マクニカ「AIエッジコンピューティングの可能性」、日本マイクロソフト「エッジとクラウドの最強コンビネーションによる正しいAIの在り方」などのセッションを行う。
「スマートセンシング」ゾーンでは、IoT時代に向け、ソリューションのキーとなる高度な技術が求められているセンシングについて、用途・目的に応じたさまざまな技術にスポットを当てる。専門トラックでは、MEMS加速度センサーや、電池交換・電源配線なしで無線センサーの長期駆動を実現するハーベスティング技術などについて解説するセッションを実施する。
「IoT無線技術」ゾーンでは、SIGFOX、LoRaWAN、NB-IoT、Wi-SUNをはじめとする最新の無線通信規格から対応デバイスなどを集中展示。専門トラックでは、オプテックス「オプテックスのIoT向けスマートセンサ&データ提供ソリューション」、STマイクロエレクトロニクス「近距離も長距離も、ネットワーク・エッジのためのIoT無線技術」などのセッションを行う。
「セキュリティ&セーフティ」ゾーンでは、組込みシステムの脆弱性とリスクが問われるなか、デバイスセキュリティにスポットを当てる。専門トラックでは、ブラック・ダック・ソフトウエアによる「企業におけるオープンソースソフトウエア利用の最大化とリスクマネジメント」のほか、重要生活機器連携セキュリティ協議会(CCDS)が、CCDSの取り組み成果や、国際標準、法的措置や新たな認証制度の動向などについて解説するIoTセキュリティセミナーを開催する。
重要テーマ以外にも、トップ企業、業界キーパーソンを招いた基調講演・特別講演・招待講演からトレンドをキャッチアップしたテーマトラック、技術セミナー、業界団体による講演まで、多彩で充実した約120のカンファレンスプログラムが用意されており、すべて無料で聴講できる。
17日は、新たに設けられたテーマ「データ流通と知財」についての基調講演を実施。オムロンが「IoT時代におけるセンシングデータ流通のチャンスと課題」を、ソフトウエア情報センターが「IoT/AI時代で変わる産業分野の知的財産権」をそれぞれ講演する。
また、同日の特別講演では、IoTの次のキーワードと言われているブロックチェーンについて、慶応義塾大学SFC研究所 斉藤賢爾上席所員が、ブロックチェーンおよび関連する分散レッジャー(台帳)の技術を基礎から解説するとともに、その限界と向き不向きを明確にし、特にIoT領域におけるさまざまな応用可能性について検討を加える。
ロボコン全国大会も開催
会期中はさまざまなイベントが併催される。
前回に続きオープン競技として実施するハッカソンは、「組込みIoT&AI ハッカソン」として、新たにIoTとAIによるサービスを考案しアイデアを競い合う。今回は会場内で開発(15日)、アイデア発表(16日)を行い、より来場者にも楽しめるイベントとして開催する。
「ETロボコン2017チャンピオンシップ大会」は、若手組込み技術者教育をテーマに、UMLなどのモデリング手法で設計したソフトウエアを自律型のライントレース・ロボットに実装して走行内容を競うコンテストで、北は北海道から南は沖縄まで、9月~10月にかけて全12地区で地区大会を開催。全国322チームが参加する地区大会で入賞した上位41チームがパシフィコ横浜に結集し、15日、日本一を目指してモデリングと競技の総合優勝を競う。
さらに、16日にETロボコン審査団を中心とした各講師が、モデルの課題や改善ポイントを解説するなど、具体的なモデリング手法を紹介するワークショップを実施する。
そのほか、16日の午後5時~6時に「ET/IoT Technology フェスタ」を開催。11月第3木曜日のボジョレー・ヌヴォーの解禁日にちなみ、各出展社がそのボジョレーをはじめ、海外のビールや地酒やおつまみ、軽食を用意するほか、各ブースで趣向を凝らした独自のイベントを実施する。