サイバー脅威で需要拡大
IT専門調査会社IDC Japanは、国内IoTセキュリティ製品市場の2017年~21年の予測を発表した。16年の国内IoTセキュリティ製品市場規模は、前年比27.5%増の518億円。16年から21年は19.3%の年間平均成長率で成長し、21年の市場規模は1250億円と予測している。
■5年で2倍超に
国内IoTセキュリティ製品市場で、ハードウエア製品市場の16年の市場規模は144億円で、21年には16年の2倍の291億円に拡大。ソフトウエア製品市場は、16年の市場規模は374億円で、21年には960億円に拡大すると予測している。
ハードウエア製品は、現状は製造機械の稼働状況の把握や遠隔制御などを目的としたユースケースが非常に多くを占めており、製造工場内ネットワークや遠隔制御用ネットワークなどに対するネットワークセキュリティアプライアンス製品の導入が先行している。今後はセンサー/モジュールに組み込まれたセキュリティハードウエアモジュールの導入が進む。
ソフトウエア製品では、あらゆる産業セクターのさまざまなユースケースにおいて、支出が加速していく。例えば、既存のオンプレミスで運用していたIoTの利用環境のクラウド移行や、新規にIoTクラウドプラットフォームを導入するケースが17年から19年にかけて進み、IoTクラウドプラットフォームやアナリティクスソフトウエア、そしてアプリケーションソフトウエアにセキュリティソフトウエアが組み込まれて展開され、市場が拡大していくとみている。
■攻撃への備え
また、17年5月に世界的規模で猛威を振るったランサムウエア「WannaCry」は、WindowsOSの脆弱性を利用して、PCばかりでなく医療機器や、自動車工場などの産業システムにも感染した。これにより、インターネットに接続されたIoT機器や制御系システムへのランサムウエア攻撃の脅威が差し迫っていることが如実に表れ、今後はIoT環境へのサイバーセキュリティ対策への導入が進展すると分析している。
今回の発表はIDCが発行した「国内IoTセキュリティ市場予測、2017年~2021年」に収録されている。