【SCF・計測展 特別寄稿】B&R Industrial Automation 技術の力で生産方法に変革もたらす

■大量のカスタマイズニーズを経済的に実現する新生産技術

技術革新は新たなビジネスチャンスに

インダストリー4.0やIoTなどに対応した新しいものづくりへの取り組みが急速に進んでいる。オーストリアに本社を置き、グローバルで市場展開を行っているB&R Industrial Automationは、こうした流れを先取りする形で新しい生産方法への取り組みを強めている。それは技術の力で、大量のカスタマイズニーズに応える生産方法を経済的に実現しようというもの。

今われわれは、刺激的な時代に生きていると言えるだろう。需要サイドでは、消費者行動に目覚ましい変化が起こっており、供給サイドでもよりパワフルな新技術が台頭し変わろうとしている。この需要サイドと供給サイドの動きが完全にかみ合わさってコンバージェンス(集合)することで、技術革新への新しいきっかけが生まれる。製造に携わるあらゆるメーカーにとっては、新たなビジネスチャンスにつながってくる。

 

パーソナリゼーションという付加価値

技術革新による新しい可能性とは? それは、パーソナリゼーション(個人化)という付加価値である。製造業で製造効率の評価に使用する最も重要な基準(KPI)を見てみる。最初に「投資利益率」である。投資利益率は、資産を生産する際に与えられた投資がもたらす利益を測定するもの。購入費用を除いて、最も重要な係数はその資産の生産性である。次に重要なKPIは、全体的な機械の有効性(OEE)である。

OEEは、稼働率、性能、品質の3要素から成り立っている。OEEは、製造ユニットの設計上の能力に対する、予定稼働期間内の製造ユニットの性能の程度を評価して判定する。稼働率は停止時間による損失を測定する。停止時間には、製造ライン上のさまざまな問題による計画外の稼働停止や、システム切替、メンテナンスのための計画停止などが含まれる。もちろん、究極的には、大量カスタマイズニーズであっても、切り替え時間が一切発生しないことである。そういった意味で、安定稼働は特別に注目に値する。

OEEの性能コンポーネントは、計画サイクル時間、もしくは特定の出力率からの逸脱を測定する。例えば、求められる質的レベルを達成するために減速すると、OEEの品質係数は欠陥品による損失と測定する。また、品質係数は大量カスタマイズにとっても最も重要なことである。もしも10,000の部品を製造し、不合格品が1の場合は、全く問題ないと言える。しかし、バッチサイズで作業を行い、1つの不合格品がある場合は、少なくとも1つの交換品を作ることになり、その半分は破棄することにつながってくる。

次のKPIは、タイム・ツー・マーケット(新製品を販売するまでに必要な時間)である。タイム・ツー・マーケットは、寿命の短い製品やホリデーシーズンをテーマにした季節商品には特に重要だ。では、とても興味深いことであるが、これらを実現させるためには、どのような技術が必要になるかである。それは、デジタル化世代に向けた製造技術である。

 

新時代の生産機械は個別の製品をカスタム化

新しい時代の生産機械は、個別の製品をカスタム化して1セットにまとめることができる。

製品フローはリアルタイムに最速で合流させることが可能になる。この技術により生産システムの稼働率は向上し、大量のカスタマイズ製品であっても、経済的な観点から魅力的なものとなってくる。また、新しい生産機械では、製品フローが合流するだけでなく、分岐することもできる。

次に品質管理面について考えてみる。製品が定められた品質に適合していれば、グリーンライトとして最速で生産し続けるが、製品が不適合品でレッドライトであれば、臨機応変にそれを除外して対応する。これがOEEによって成し遂げられる品質管理手法である。

また、新しい生産機械は耐障害機能を備えている。例えば、並列作業ラインがあり、片方のラインで障害が発生した場合には、その機械はその台への流れを自動的に中止するといった賢さを持っている。この方法は生産性を若干抑制するかことになるが、100%の適合した品質で製造し続けるとも言える。今後は、一貫性のない充填による品質問題は、もう過去の話となる。その違いは、OEEの品質係数で確認できる。

 

タイム・ツー・マーケットに重要なシミュレーション

タイム・ツー・マーケットに大きな影響を与える技術の1つに、シミュレーションがある。新製品の生産用に新規で機械を開発すべきか、それとも、既存の製造ラインをその製品用に改造してセットアップすべきかを判断する際に役立つ。エンジニアリング結果をテスト・評価するにあたり、シミュレーションは最適な方法になってくる。

製造プロセスにおいて、全てのステップに同じ時間がかかるわけではなく、厳密に時間管理された処理サイクルを有するシステムでは、最も遅い処理ステップが出力率を決定する。例を挙げると、3つの異なる作業ラインで、3つの処理ステップが行われている時に、作業ラインAと作業ラインCでの処理には2秒かかるが、作業ラインBでは8秒かかる。この場合、厳密に時間管理された機械においての全体のサイクル時間は8秒になる。

新しい時代の生産機械は、柔軟な搬送システムにより並行作業ラインを設置することが可能になる。例えば、作業ラインBの状況が4例あるとすると、機械の生産性が4倍になり、それに対応して投資利益率(ROI)が向上することになる。新しい機械は拡張可能で、生産ニーズに合わせて基本的な構成から、モジュール式にして拡張していくことができる。これにより投資収益率(ROI)が向上し、確実な投資となってくる。

オートメーション新聞は、1976年の発行開始以来、45年超にわたって製造業界で働く人々を応援してきたものづくり業界専門メディアです。工場や製造現場、生産設備におけるFAや自動化、ロボットや制御技術・製品のトピックスを中心に、IoTやスマートファクトリー、製造業DX等に関する情報を発信しています。新聞とPDF電子版は月3回の発行、WEBとTwitterは随時更新しています。

購読料は、法人企業向けは年間3万円(税抜)、個人向けは年間6000円(税抜)。個人プランの場合、月額500円で定期的に業界の情報を手に入れることができます。ぜひご検討ください。

オートメーション新聞/ものづくり.jp Twitterでは、最新ニュースのほか、展示会レポートや日々の取材こぼれ話などをお届けしています
>FA・自動化、デジタル化、製造業の今をお届けする ものづくり業界専門メディア「オートメーション新聞」

FA・自動化、デジタル化、製造業の今をお届けする ものづくり業界専門メディア「オートメーション新聞」

オートメーション新聞は、45年以上の歴史を持つ製造業・ものづくり業界の専門メディアです。製造業DXやデジタル化、FA・自動化、スマートファクトリーに向けた動きなど、製造業各社と市場の動きをお伝えします。年間購読は、個人向けプラン6600円、法人向けプラン3万3000円

CTR IMG