FA制御機器の好調な出荷が続いている。スマホ、自動車、電池関連をはじめとした旺盛な需要を背景に、生産設備向けや機器内蔵向けでの引き合いが継続しているもので、一部のFA制御機器では納期遅れも出始めている。過熱とも言える動きに、ダブルやトリプル発注による悪影響を警戒する声も出始めている。
多重発注も警戒の声
日本電気制御機器工業会(NECA)の2017年度上期(4-9月)の出荷額は、前年同期比116.5%の3717億円と過去最高となっている。国内、輸出とも2桁の伸長で、特に輸出は125%と高い伸びで、5大製品分類別でも操作用スイッチ(118.4%)、検出用スイッチ(116.3%)、制御用リレー(107.4%)、PLC/FAシステム機器(123.8%)、制御専用機器(113.4%)と、制御用リレーを除いて2桁増を維持している。
NECAの17年度出荷見通し額は、14年度に続く過去2番目の6730億円としていたが、下期もこのペースが続くと7400億円超の出荷額が予想され、過去最高を700億円以上も上回ることになる。
日本電機工業会(JEMA)の17年度上期の重電機器出荷額は、同104.2%の1兆8174億円となっている。発電用原動機が94.9%と前年割れとなったことから全体伸び率で2桁増とはならなかったが、他の機器は前年同期を上回っており、特にサーボモータが124.8%、PLC(プログラマブル・コントローラ)が120.6%と120%を超えている。サーボモータ、PLCのうち、特注品ではない標準仕様に絞った出荷額はそれぞれ126.5%、132.8%とさらに高い伸び率となる。
スマホ、自動車関連での半導体や有機EL需要が大きく伸びていることから、これらを製造する半導体・FPD製造装置や、工作機械の需要は大きく増加。加えて、人手不足や人件費の上昇などに伴いロボットの需要も増えている。
日本ロボット工業会(JARA)の17年1月-9月の会員ベースでの生産額は127.2%の5204億円で、7-9月だけでは134.4%の1891億円となっている。JARAでは、会員外も含めた17年のロボット生産を7500億円と予想していたが、上振れして8000億円台超えの可能性もあるとしている。
また、一部では注文に生産が追いつかずに納期遅れが発生している。この中には、生産能力を超える受注に加え、部品不足から受注に応えた生産ができないという事態も増えてきている。このため、生産に必要な部品をダブルやトリプルで発注することによって生じる市場の実態以上の注文を警戒する声も出始めている。「納める製品があれば売れるのだが」という声も聞かれるだけに、需要があるのに出荷が伸びないという皮肉な状況も予想される。