矢野経済研究所(東京都中野区)の調査によると、2017年度の国内民間企業のIT市場規模(ハード・ソフト・サービス含む)は、前年度比2.0%増の12兆1170億円になると予測される。市場を牽引してきた金融機関を中心とした大型の基幹システム等の更新・開発案件が16年度にピークアウトしたため、市場規模は拡大基調にあるものの、そのスピードは17年度以降、緩やかになるとみられる。
17年度以降のIT投資では、AIやIoTの分野が投資対象になっており、これらのテーマを中心に大手ITベンダーのSIビジネスも堅調に推移していく見込み。また、セキュリティの強化やワークスタイル変革に関する取り組み、東京五輪の開催に向けたシステム開発案件、Windows7のサポート終了(20年1月予定)によるパソコンのリプレイスなども市場の成長を後押しすると考えられるが、19年10月に予定されている消費増税による投資計画の前倒しや、投資金額縮小の可能性には留意が必要であるとしている。
同調査において実施した法人アンケートでは、4~5年前と比較し、新商品/サービスの開発などにITの関与する割合が「大きく増えた」「少し増えた」とする回答の合計が40.6%と、デジタライゼーションが活発化している結果となった。業種別にみると、特に加工組立製造業や金融業でこの傾向が顕著になっており、インダストリ4.0やフィンテックの影響であると考えられる。
その他、各企業に外部リソースを活用する割合の変化を、4~5年前と比較して尋ねたところ、25.0%の企業が「大きく増えた」「少し増えた」と回答。その狙いについては、「自社だけでは思いつかないアイディアを発見したい」が36.7%ともっとも大きな割合になっており、「他企業の事例が知りたい」が25.1%、「先端ITテクノロジーを活用したい」が18.5%と続いた。