JEMIMA 電気計測器の中期見通し発表 17年度 5556億円予測 EV、5G、五輪など好材料も

日本電気計測器工業会(JEMIMA)は12月7日、電気計測器の2016年度実績と、17年度から21年度までの中期見通しを発表した。16年度の国内と輸出を合わせた実績は5552億円(前年度比2.4%減)、17年度は微増となる5556億円を見込み、以降はほぼ横ばいで推移する見通しを示した。

16年度実績と17年度以降の中期見通し

16年度は、官公需の伸び悩みと円高による競争力低下、中国市場の景気回復の遅れから、前年度比2.4%減の5552億円となった。主な内訳は、電気測定器一般が1044億円、半導体・IC測定器が661億円、PA計測制御機器が2302億円、電力計が1003億円、環境計測器が79億円、放射線計測器が263億円。電気測定器一般と半導体・IC測定器、PA計測制御機器が落ち込んだが、14年から普及が進むスマートメーターにより電力計が大きく拡大した。

17年度から21年度にかけては、年平均成長率マイナス0.2%で推移し、17年度5556億円、18年度5613億円、19年度5526億円、20年度5620億円、21年度5502億円と予測している。

製品群別の実績と予測

電気測定器一般は、オシロスコープやスペクトラムアナライザなど汎用測定器と、無線通信測定器や光測定器など通信用測定器、電圧・電流計などエネルギー管理用測定器、その他に分類される。
 
16年度実績は1044億円だったが、2017年度以降は5GやIoT関連の無線通信の設備投資やEVとそのインフラ設備投資、自動運転技術の設備投資などの追い風を受けて年平均6.3%で成長し、21年度には1353億円まで拡大。中でも通信用測定器は5G、自動運転に関わる車車間、路車間通信、IoT向けWi-Fi、LPWAのネットワーク接続、クラウド拡大にともなうデータセンター関連の需要が見込まれ、年平均12%と高い成長率での拡大が予測されている。汎用測定器の年平均成長率は1.6%、エネルギー管理用測定器は1.9%の見込み。

PA計測制御機器は、DCSと伝送器、流量計、温度計、バルブポジショナー、調節計、記録計などが含まれる。
 
16年度実績は2.1%減の2290億円。官公需は、上水道の更新需要と、集中豪雨にともなう下水道の災害復旧などがあり、7.7%増の400億円。民需は医薬品や合成繊維、石油化学向けの需要増、半導体製造装置の好調、火力発電の高効率化への取り組みなどがあり、3.1%増の1252億円となった。

一方で、輸出は中国の景気回復の遅れや円高による為替影響、原油など資源価格の低迷が響き、15.2%減の638億円と伸び悩んだ。製品別ではDCSなど監視制御システムが557億円、流量計や温度計など発信器が756億円、分析機器が183億円、記録計や調節計など受信計が143億円、その他が143億円となっている。17年度以降は横ばいで進み、21年度は2354億円と予測している。
 
業界別の分析では、化学、紙・パルプ産業、鉄鋼はほぼ横ばい。石油精製は減少傾向。一方で機械は半導体と有機EL製造装置の需要増加、食品は人手不足や食の安全安心対策のトレーサビリティシステム、IoT導入の本格化、省エネや環境対策などの好材料があり、成長基調で進むと見られている。
 
環境計測器は、大気汚染計測器と水質汚濁計測器と各種成分計、騒音計、自動車公害測定器に分類される。
 
16年度実績は前年の9.2%減となる79億円だったが、17年度以降は年平均2%の成長率で推移し、21年度は87億円になる見込み。大気汚染計測器に関しては、中国でのVOC規制の強化をはじめ、中国とインド、ASEANの経済発展にともなう環境規制の強化によって海外需要が増加。国内は設備投資や公共事業費の減少で横ばいから減少傾向となる見込み。水質汚濁計測器は、国内海外ともに需要増加。国内は20年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた新設需要で微増となる。
 
放射線計測器は、放射線モニターの158億円を中心に、16年度実績は総額263億円。17年度以降はほぼ横ばいで進み、21年度は264億円となる見込み。
 
電力計の16年度実績は、大きく伸びて1003億円。低圧計器における各電力会社のスマートメーターの取り替え需要が追い風となった。しかし16年度をピークに減少に向かう。

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