経済産業省と中小企業基盤整備機構は、17年10月から12月の中小企業景況調査を発表した。中小企業の業績基調は緩やかに改善。製造業は電気・通信器具・電子部品、機会器具、輸送用機会器具、食料品など11業種で業況判断DIが上昇し、回復基調となっている。
調査は、全国の中小企業1万8959社を対象に聞き取り調査で行われ、有効回答数1万8223件を得た。製造業は4650社に対し4468件の有効回答があり、全回答の約4分の1を占めている。
製造業で景気が良い/悪いと回答した企業の割合の差を示した業況判断DIは▲7.9ポイントとなり、前期からマイナス幅が縮小。製造業14業種のうち最も良かったのが輸送用機械器具で4.5、次いで鉄鋼・非鉄金属で4.2、機械器具3.4、金属製品2.9と続く。これら含めて11業種で改善傾向が見られた。非製造業では▲16.6とマイナス幅がやや拡大。卸売、サービス、小売で悪化傾向だった。
売上額DIでは、全産業では▲12.5%とマイナス幅が縮小し、製造業も前期▲10.8から今期5.0と大幅に改善。経常利益DI(好転-悪化)では、全体はマイナス幅が拡大したが、製造業は▲12.0と前期から縮小した。
資金繰りDIは、全産業でマイナス幅が拡大したが、製造業では▲7.4と前期から縮小。借入難易度DIは全体でマイナス幅が拡大し、製造業は1.4と2期連続のプラス。製造業は資金繰りがしやすい状況になっている。
製造業における生産設備の過不足DI(過剰-不足)は、▲7.0と前期(▲4.1)よりもマイナス幅が大きく拡大。景気好調で受注もあるのに対し、生産が追いつかないという状況が広がっている。
製造業関連の声 増産望むが足らぬ人手
【食料品(北海道)】原材料の不足、従業員の高齢化、従業員の確保難など、生産に係る基本的な問題が多い。原料の不足はもちろんだが、次のステップに進めない状況であり、機械化を進めるにも資金面で無理がある。
【輸送用機械器具(千葉)】少子高齢、構造変化、AI、IoT等変化の多様化とそのスピードがここに来てますます早くなって来ており対応が難しい一方、チャンスでもあり、大手とのオープンイノベーションを活用して変革を進める事が重要(必須)。
【機械器具(長野)】受注状況が非常に高水準。半導体関連の引き合が多くなっている。他社で納期が合わない製品の引き合が多く、短納期の案件が多い。今後も続くと予想しており人材確保を行っている。
【繊維工業(富山)】原材料価の上昇が悩みの一つ。自動車関連および衣料関連共に昨年に比べやや受注量は上向き。開発案件も活発になってきており、客先ニーズに応え決定に結びつけたい。
【鉄鋼・非鉄金属(石川)】工作機械が活発なため、受注量が多く、納期遅れが発生している。もう少し生産量を増やしたいが、人手不足もあり思うように増産できない。
【金属製品(岐阜)】FA関連部品の需要が引き続き旺盛であるが、人員の確保が困難で、全ての受注に対し対応しきれない。生産設備を増強して省力化に転換していくことで、多くのニーズに応えていきたい。
【電気・情報通信機械・電子部品(福岡)】
日本経済は株価の上昇など当面は良い環境が期待できる。当社の主要取引先である鉄鋼、電力業界は省エネの更なる推進を背景に、今後も設備更新、メンテナンス需要の増加が期待できると見ている。