2018年の新春を迎え、心からお慶び申し上げます。
さて、昨年の我が国経済は、緩和的な金融環境、政府の経済対策効果もあって、個人消費や設備投資が緩やかに増加傾向をたどり、海外経済の堅調を背景に輸出が好調に推移し、大手企業を中心に企業収益が改善する等一部に明るい兆しも見えました。一方、実質賃金は伸び悩み、デフレ脱却は依然遠い等、景気の足踏み状態が続いております。10月の衆議院議員選挙では、安倍政権継続の是非が問われ、政府・与党が勝利を収めました。消費税増税、財政再建、エネルギー政策等課題が山積する中、どのような政策を打ち出していくのか注視して参りたいと考えております。
国外の情勢では、中国において全国人民代表大会が行われ、習近平氏の留任が決定。習体制の2期目がスタートいたしました。韓国では大統領選挙が行われ、文在寅氏が勝利、9年ぶりの政権交代となりました。中国・韓国の経済、政治、外交がどのような方向に向かっていくのか、日中韓経済関係にどのような影響があるのか今後の動向については、注視して参りたいと考えております。また、食品業界に大きな影響を及ぼす環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)はアメリカを除く11カ国で大筋合意し、今後の行方には大いに関心を持つ必要があると考えております。
ドイツで開催されたG20において、英国のEU離脱問題の影響に加え、過剰な生産能力や不良債権を抱える中国経済の減速、朝鮮半島の緊迫化、シリア情勢の悪化等、世界経済の抱える下方リスクについて懸念が表明され、依然として不安定な状態が続いております。
こうした国内外の動向を受け、我が国食品機械の販売額は、機種によって異なるものの全体では前年を若干上回る見込みですが、企業経営に関しては多くの会員の方々が厳しい見解を持っておられます。食品業界では、食品の安全性の担保、深刻化する人手不足、低価格化、多様化する消費者ニーズ、環境対策、少子高齢化に伴う国内市場の縮小等多くの課題を抱えております。
我々食品機械業界は、ユーザーである食品業界の動向を常に注視し、コスト削減や効率化・省力化を追求しつつ絶えず技術革新を進め、安全・安心という基本を堅持し、食に関わるビジネスの新たな領域を切り開き、消費者のニーズに真摯にお応えできるような提案を行っていきたいと考えております。
そのため、当工業会は、食品機械の安全・衛生化の推進、国際化への対応、人材の育成等、国民の皆様の生命と生活の基本である「食」の安定供給を支えて参りたいと存じます。
本年6月には「食の未来は無限大」のキャッチフレーズのもと食品関係産業におけるアジア最大規模の展示会「FOOMA JAPAN 2018」を開催いたします。41回目を迎える本展は、東京ビッグサイト東展示棟1~8ホールのすべての展示スペースを使用して開催いたします。多くの企業の皆様にご出展を賜り、本年もまたFOOMA JAPANに対する評価と期待を寄せていただいているものと関係者一同あらためて身を引き締めております。皆様の期待に応えるべく、本展の成功に向けて鋭意準備を進めております。「食の安全・安心」を堅守しつつ、さらなる新たな領域を切り拓くための最先端のテクノロジー・製品・サービスの展示を通じて、日本経済活性化の一助となればと考えております。
当工業会は本年創立70周年を迎えます。5月に記念式典、記念祝賀会を開催する予定です。引き続き、業界一丸となって、食品機械工業の発展と国民生活の向上に全力で努めて参りたいと存じます。
本年も当工業会に対しまして皆様方の一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。