【2018年年頭所感】日本フルードパワー工業会 会長 永久秀治「変化恐れずチャレンジ精神」

新年明けましておめでとうございます。

2018年の念頭にあたり、一言ご挨拶を申し上げます。

お正月はふと目にした風景に静寂と美しさを感じる瞬間があります。初詣に地元の小さな神社へ向かう小路や交通量が少ない都会の街路に静謐な空気が流れ、日本の平和を感じる瞬間です。本年も平穏な年であることを願って止みません。

さて、昨年を振り返りますと、フルードパワー業界を取り巻く景況はまだら模様ながら、概ね良好のうちに推移いたしました。企業部門では生産の増加基調が続き、輸出は底堅く推移、また、企業収益が改善する中、設備投資も持ち直しに向かいました。株価は世界的に堅調に推移し、東証株価もバブル崩壊後の高値を更新するなど明るさを増しています。企業業績も9月の中間決算では製造業を中心に増益基調が確認されました。こうした中、当工業会では下期に入り、昨年4月に発表した需要予測の見直しを行いました。油圧機器では中国の建設機械需要がまだしばらく底堅い動きをすると判断し、前年比、前期比ともに約15%プラス、空気圧機器も外需を中心に工場自動化が更に強く伸びるとの判断のもと、前年比、前期比とも25%プラスを見込み、全体では今年度は8500億円近くに達するとの上方修正をいたしました。

昨年の突然の衆議院解散の結果は引き続き与党多数の政権となり、政策の安定的な運営が期待されます。自民党の公約の中に、最先端のイノベーションによる「生産性改革」とあらゆる人にチャンスをつくる「人づくり改革」というのがあります。大胆な税制、予算、規制改革などを通じて、企業収益を設備投資や人材投資へ振り向けるというものです。大いに期待したいものです。一方で、少子高齢化による若手人材の不足が深刻です。当工業会では、昨年、高齢者活用指針を取りまとめました。シニアの方々、女性の方々にもより活躍していただける業界にしていくことが我々の更なる発展に資するものと考えております。

今年を展望すると、米国や中国を中心に海外経済の堅調が見込まれる中、輸出は増加基調が続くことが期待されます。また、国内需要も人手不足が続くもとでの雇用環境の改善、旺盛な建設需要などを背景に底堅く推移すると見込まれており、総体としては底堅い内外需を背景に緩やかな回復基調が続く見通しです。一方で、止まることのない経済のグローバル化により事業を取り巻く環境は複雑さを増し、各地での新たなナショナリズムの台頭や地政学的リスクの発生は不確実性をますます高めています。また、ビジネスにおいては、IoT、AI、自動運転などの技術のさらなる発展が、産業構造を大きく変化させる起爆剤になる可能性があり、そこには新たな事業機会、収益機会が生まれてくると言われています。経営者にとってリスクに対応するための俯瞰的な視点と、変化を恐れないチャレンジ精神が一層、求められていると考えています。

最後になりましたが、フルードパワー工業会と皆様方の会社の益々の清栄と発展を祈念し、私の年頭のご挨拶とさせていただきます。

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