矢野経済研究所(東京都中野区)は、国内のメーカーや販売元企業、関連団体等を対象にパワーアシストスーツ(PAS)市場の調査を実施した。
2016年度の国内のPAS市場規模は、メーカー出荷金額ベースで前年度比46.2%増の26億7600万円。14年度以降から毎年のように新規市場参入と新製品の上市が見られ、その参入社数と製品数は拡大している。とくに近年では、作業支援型の製品数の増加が続いており、新たな用途として注目されていることが窺える。
作業支援型は、16年度は厚生労働省の介護ロボット等導入支援特別事業の影響で高価格品の出荷が拡大したが、17年度は補助金がなくなることで減少する見込み。一方で歩行支援型は、新規参入や新製品の投入により17年度も拡大する見込みで、17年度の市場規模は、同4.9%増の28億600万円を見込んでいる。
PASのアシスト方式としては、動力源に電気モータを採用したパワー系が主流となっているが、動力源を有しない非パワー系の製品も増えており、さらには圧縮空気を利用したアシスト方式も加わることで、目的や用途、期待する効果に応じて、ユーザーの選択肢が広がっている。
いずれのアシスト方式においても、徐々に製品数が増えその構造や機能のバリエーションが多様化するなかで、ユーザーの目的や作業内容に適合し、期待される効果が得られるかどうかが問われようとしており、いよいよ本格的な競合が始まるとみている。
今後は、20年度までは拡大基調にあることは間違いないが、需要が本格化するわけではなく、製品評価が進む期間に位置付けられると考察。PASの真価が試され、その過程のなかで大量に採用される例も出てくる可能性があることから、20年度の国内のPAS市場規模は、40億5000万円まで成長すると予測している。