富士キメラ総研 2020年の機能性高分子フィルム市場予測 HV・EVが業界けん引

モーター用絶縁フィルム今後の伸びに期待

富士キメラ総研(東京都中央区)は、機能性高分子フィルムの市場について、報告書「2017年版機能性高分子フィルムの現状と将来展望」としてまとめた。このうち工業・自動車分野は15年比9.4%増となる3325億円になると見込んでいる。中でもモーター用絶縁フィルムは、HVとEVの大幅増加によって同50%増の27億円に達するとした。

工業・自動車分野は、20年には3325億円に達する見込み。背景として、自動車の販売台数の増加、特にHV、EVの大幅な増加により市場が拡大している。自動車用ウインドウフィルム、フィルムコンデンサー用フィルムは市場規模が大きく、モーター用絶縁フィルム、加飾・転写フィルム、MLCC用離型フィルムは自動車の販売台数の増加に加え、採用率も上昇しており好調。航空機用途では、CFRP用離型フィルム、CFRTPシート・テープの採用が増えるとみられる。

バリアフィルム分野は20年に517億円と予想。透明蒸着フィルムが市場の半数のウェイトを占め、ガスバリア性の高さから食品包材用途を中心に伸びている。食品賞味期限の延長や電子レンジ対応ニーズから国内、海外ともに需要が拡大。また、防湿包材用途で金属部品、インクカートリッジ、トイレタリー製品など、産業・工業向けやメディカル向けとしても需要を獲得している。

モーター用絶縁フィルムは、20年は27億円と大幅な伸びと予想。HV、EV用モーターに内蔵されるスロットライナー、ウェッジ、相間絶縁紙を対象とし、HV、EVでの需要拡大や高出力な分布巻モーターの採用率上昇により、市場は高成長。16年はHV、EVの販売が順調で、今後も市場は拡大。高出力の分布巻モーターのウェイト上昇やモーター数の増加も寄与すると見ている。

フィルム状封止材は、20年には3億円まで拡大の見込み。半導体の封止材として16年時点ではモジュールとコアレスパッケージに採用されているが、18年からFOWLPで採用が進み、市場は大幅に拡大。通信や車載モジュールの増加により需要が増加するとみられる。コアレスパッケージでは、FC-CSPで採用され、大面積を一括成形でき生産性を高められることに加え、薄型化が可能であることなどから採用が広がると予想されている。

透明蒸着フィルムは、16年260億円から20年は302億円まで拡大すると予想。

国内では、電子レンジ対応のボイル・レトルト向けが中心。高いバリア性を持つため、賞味期限延長ニーズを背景に需要が拡大している。海外では、環境意識の高まりから、PVDCをコートしたバリアフィルムの代替として欧州を中心に採用が開始され、韓国、中国などのアジア地域を中心に需要は広がっている。アメリカでは缶、ビンでの採用が一般的で軟包装の文化があまり浸透していないため、需要は限定されるとみられるが、一部レトルト対応が可能なコンバーター向けやトレーのふた材などで需要がみられ、今後は微増が続くと予想される。

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