【インタビュー】ニクニ 大崎 荘一郎社長「変革の時代 常識にとらわれずチャレンジ」

アイデア品、次々と展開 ポンプ市場拡大へ全力

2016年に創業70周年を迎えたポンプメーカーのニクニ。もともとユニークな製品に定評があるが、この変革の時代に際し、ポンプや流体制御技術を応用したアプリケーションに特化したアイデア製品を次々と展開。ポンプメーカーとしてポンプの可能性と市場を広げるための活動に積極的に取り組んでいる。また経営や営業手法、社員の働き方に関しても時代の変化に合った最適解を求めて挑戦中。 30年後の創業100周年に向けて、大崎荘一郎社長に話を聞いた。

 

—— 18年で創業72年目に突入しました

もともとは光学精密機器メーカーの技術者だった創業者が1946年に事業を開始。当初は精密機器向けの機械や設備の保全を行っていたが、ある時ポンプに着目し、独自で研究開発を進め、見よう見まねでポンプ事業に参入した。

普通のポンプでは特徴がないので、他ポンプメーカーにはない、高精度で耐久性が高く高効率なポンプに主眼を置いた。半導体や自動車部品向けなどの精密洗浄機向けポンプは今も大きな稼ぎ頭となっている。光学精密機器は求められる要求と精度が非常に高く、その時の経験が生きた。

 

—— ユニークな出自ですね

ポンプメーカーの多くは機械や設備系にルーツを持つが、光学精密機器というのはなかなかないんじゃないか。もともと亜流だから一般的なポンプの用途以外の分野に積極的に取り組んできた。それが幸いして、お客さまの要望に応じて柔軟にさまざまな分野にチャレンジするという風土ができた。お客さまから課題を聞き、ポンプと周辺機器を組み合わせてユニット化した応用品を作るなど、ポンプメーカーの枠に止まらない形になってきたんだろうと思う。

 

—— ポンプ応用品について具体的な例はありますか?

例えば、「VDF」はサイクロン方式で遠心力を利用して工作機械のクーラント液中のスラッジや切粉を分離するユニット。消耗品であるフィルターの交換が不要で高精度濾過を実現し環境に優しい。またマイクロバブルやナノバブルなどの小さな泡の発生装置は排水処理の前処理や植物工場で野菜の生育促進にも使われ好結果を出している。これは気液混合技術が応用されている。

 

—— 新製品や新技術にチャレンジする理由を教えてください

年がら年中、寝ている時もポンプや装置のアイデアを考えている。枕元にはいつもメモとペンを常備し、アイデアを書き留めてチャレンジする。成功は一度ではたどり着かない。何度も失敗し、どんどん試行錯誤で挑戦していくことが大事だ。

アイデアをまねされて似たような製品が出てくることがある。時にはポンプを購入してくれているお客さまと領域がバッティングしてしまうこともある。しかし、それでもいいと思っている。プレイヤーと製品が増えることで新たなポンプ関連の市場が生まれる。今のままではポンプ市場は横ばいのまま。メーカーとしてポンプの可能性を広げ、市場を作る役目がある。

当社はポンプのコア技術を持っていて、応用品市場はそれをアピールする場でもある。「ポンプだけ欲しい」という声も当社はウエルカム。喜んでポンプを提供する。OEMも歓迎だ。新たな市場とユニークなポンプの用途が広がれば当社にとってはハッピーだ。

 

—— これからについて教えてください

今後、国内市場の大きな拡大は見込めない。従来の顧客への技術支援や有効なアドバイスでファンを作っていくことが大事。具体的には、インサイドセールスが定期的に連絡するなど顧客との接点を増やしてサポートを強化していく。

また、かつてアメリカの流通ではディストリビューターが非常に大きな力を持っていたが、今は時代が変わり、メーカーがユーザーに直接PRするのが一般化した。特にWebの活用がカギになっている。

大きな変革の時代のなかで、仕事や働き方が大きく変わっている。人に合わせて仕事のやり方を変えたり、若い人に仕事の楽しみを与えるなど、これまでの常識にとらわれずチャレンジしていかなければならない。当社にあった新しい方法、形を作り出していきたい。

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