東芝は、組込み機器向けの超低消費電力アナログAIアクセラレータチップを開発した。
従来のクラウドベースAIでは、組込み機器に設置した大量のセンサデータをクラウド上のニューラルネットワークで解析するためにセンサとクラウドの間で膨大な量の通信が必要となり、AI導入の障壁となることが懸念されている。また、一方で組込み機器でのAI導入には、ハードウエアのコストや消費電力の高さという課題がある。
同社は、演算回路に独自の発振回路を採用し、その発振時間と発振周波数を動的に制御することで演算を行う新たな演算処理技術を開発。従来は個別のデジタル回路で処理されていた乗算、加算、記憶が1つの回路で処理可能となり、演算処理の際に動作するトランジスタの数を削減することにより、消費電力の大幅な削減を実現している。
さらに、今回開発した演算処理技術を搭載したAIアクセラレータチップを試作し、従来のデジタル回路と比べて同程度の面積で消費電力が1/8となることを確認。加えて、開発したAIアクセラレータチップを用いて画像認識や故障検知のニューラルネットワークの推論処理のデモ動作にも成功している。